遺言・相続・遺産分割

  1. 相続税はどうやって計算しますか?
  2. 相続税はいつまでに申告・納付をする必要がありますか?
  3. 相続税の負担を軽減する方法がありますか?

オールワン法律会計事務所の弁護士・税理士が相続税の申告を法務・税務の両面から分かりやすく解説します。

相続についての
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相続税の計算

[法定相続人] 妻 子A 子B
[正味遺産額] 1億4,800万円
[遺産分割の結果] 妻が相続財産の60%(8,880万円)の財産を相続
子A子Bが各自20%(2,960万円)の財産を相続

① 正味遺産額から基礎控除額を控除します

1億4,800万円 4,800万円 1億円
(基礎控除額※) (課税遺産総額)

 

 

 

※ 3,000万円 + (法定相続人の人数 × 600万円)

② 課税遺産総額を法定相続分で割付けます

1億円 × 1/2
(法定相続分)
5,000万円
子A 1億円 × 1/4
(法定相続分)
2,500万円
子B 1億円 × 1/4
(法定相続分)
2,500万円

③ 課税財産に税率を乗じる等して相続人ごとの相続税額を算出します

5,000万円 × 20% 200万円 800万円
子A 2,500万円 × 15% 50万円 325万円
子B 2,500万円 × 15% 50万円 325万円
相続税の速算表
課税価格 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

④ 相続人ごとの相続税額を合算します

800万円 × 325万円 1,450万円
(相続税の総額)

⑤ 相続税の総額を実際の相続割合に応じて相続人ごとに按分します

1,450万円 × 60% 870万円
(妻が納める相続税額 ※)
子A 1,450万円 × 20% 290万円
(子Aが納める相続税額)
子B 1,450万円 × 20% 290万円
(子Bが納める相続税額)


被相続人の配偶者が相続した正味遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは相続税はかかりません。
〇 1億6,000万円
〇 配偶者の法定相続分相当額
(相続税法19条の2)

相続税の課税財産

相続税がかかる財産

被相続人が所有していた財産

土地(土地の上に存する権利を含みます)、建物、事業(農業)用財産、有価証券、現金、預貯金、家庭用財産(家具、什器等)、その他の財産(乗用車、貴金属、宝石等)

みなし相続財産

契約者・被保険者が被相続人、受取人が相続人の生命保険の保険金
被相続人の死亡により受取った退職手当等で被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの
など

結婚・子育て資金の非課税特例を受けていた場合の管理残額

被相続人から相続時精算課税による贈与で取得した財産

相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産

相続税がかからない財産

墓所・霊廟・祭具・これらに準じるもの

墓地、墓石、霊廟、仏壇、仏具、位牌、仏像、神棚、神体、神具など
ただし、骨とう品や投資目的で所有するものは非課税となりません。

相続人が受け取った生命保険金の合計額の一定金額

500万円 × 法定相続人の数

相続人が受け取った死亡退職金の合計額の一定金額

500万円 × 法定相続人の数

相続税申告期限までに国などに寄付をした財産

相続税の課税価格計算の特例

小規模宅地の特例

相続又は遺贈で取得した財産中、相続開始直前に被相続人等の事業や居住の用に供されていた宅地等で建物等の敷地の用に供されているものがある場合、それら宅地等について一定の限度面積まで、相続税の課税価格に算入する価額を減額するものです。

相続開始前直前の宅地等の利用区分 要件 限度面積 減額割合
被相続人の事業の用に供されていた宅地等 貸付事業以外の貸付宅地等 特定事業用宅地等 400㎡ 80%
貸付事業用の宅地等 一定の法人の事業に貸付けられその法人の事業用の宅地等 特定同族会社事業用宅地等 400㎡ 80%
貸付事業用宅地等 200㎡ 50%
一定の法人の事業に貸付けられその法人の貸付事業用の宅地等 貸付事業用宅地等 200㎡ 50%
被相続人の貸付事業用の宅地等 貸付事業用宅地等 200㎡ 50%

特定居住用宅地等の要件

取得者が配偶者

要件はありません。

取得者が次の要件に該当する者

  1. 相続開始直前においてその宅地等の上に存する家屋に被相続人と同居しており、かつ、相続税の申告期限までその家屋に居住していること
  2. その宅地等を相続税の申告期限まで保有していること

取得者が次の要件に該当する者

  1. 被相続人の配偶者又は相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族がいないこと
  2. 相続開始前3年以内に日本国内にある自己、自己の配偶者、自己の三親等内の親族又はその親族と一定の関係にある一定の法人が所有する家屋に居住したことがないこと
  3. 相続開始時に自己の居住している家屋を相続開始前のいずれのときにおいても所有していたことがないこと
  4. その宅地等を相続税の申告期限まで保有していること

被相続人が老人ホームに入居していた場合

次の要件を充足する場合は、相続開始の直前に被相続人の居住の用に供されていた宅地等とされます。

被相続人が介護保険法に規定する要介護認定又は要支援認定を受けていたこと等により、次の住居・施設に入居・入所していたこと若しくは被相続人が障害者自立支援法に規定する障害者支援区分の認定を受けていたことにより、同法に規定する障害者支援施設・共同生活援助を行う住居に入所・入居していたこと

ア 認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居
イ 養護老人ホーム
ウ 特別養護老人ホーム
エ 軽費老人ホーム
オ 有料老人ホーム
カ 介護老人保健施設又は介護医療院
キ サービス付高齢者向け住宅

当該家屋が貸付けを含む事業の用に供されていたり、被相続人と生計を一にし、かつ当該家屋に引続き居住している親族以外の者の居住の用に供されたりしていないこと

配偶者に対する相続税額の軽減

配偶者に対する相続税については、①同一世代間の財産移転であることが多いこと、②配偶者に相続が発生した際にも相続税が課税されること、③被相続人の財産形成に配偶者の貢献があると認められること、から軽減措置が設けられています。

配偶者の税額軽減額は次のように計算します。

配偶者の税額軽減=相続税の総額×(①②のいずれか少ない額)/(課税価格の合計額)

① [課税価格の合計額×配偶者の法定相続分]と[1億6,000万円]いずれか多い額

② 配偶者の実際の課税価格

未成年者控除

相続又は遺贈によって相続財産を取得した者が未成年者※であるときは、算出された相続税額から次の算式による金額を控除できます。

未成年者控除額 (20歳 ― 相続開始時の年齢) × 10万円

※ 2020年4月1日以後は18歳未満とされます。

障害者控除

相続又は遺贈によって相続財産を取得した者が85歳未満であり、かつ障害者であるときは、算出された相続税額から次の算式による金額を控除できます。

[一般障害者の控除額]
(85歳 - 相続開始時の年齢) × 10万円
[特別障害者の控除額]
(85歳 - 相続開始時の年齢) × 20万円

相次相続控除

その相続開始前10年以内に開始した相続により被相続人が財産を取得し、その財産に相続税が課税されていた場合、前の相続税額のうち1年につき10%の割合で逓減した後の金額を、今回の相続税額から控除できるとするものです。

外国税額控除

国外財産につき、その所在地国で日本の相続税に相当する税が課されたときは、日本の相続税額から一定額控除できるとするものです。

相続税の申告

相続税の申告期限

相続の開始があったことを知ってから10カ月以内に相続税の申告書を提出する必要があります。

遺産分割が終了していない場合

民法に規定する相続分又は包括遺贈の割合によって相続財産の価額及び承継債務の金額を計算して相続税を申告することになります。

税理士法33条の2による添付書面

税理士法33条の2による添付書面とは

書面添付制度とは、税理士法33条の2に規定する計算事項等を記載した書面を税理士が作成した場合、当該書面を申告書に添付して提出した者に対する調査において、従来の更正前の意見陳述に加え、納税者に税務調査の日時場所を予め通知する時は、その通知前に、税理士や税理士法人に対して、添付書面の記載事項について意見を述べる機会を与えなければならない、というものです。

税務の専門家である税理士の立場を尊重し、税務執行の円滑化・簡素化を図るために導入されたものです。
添付書面の提出があった場合には、税務署が税務調査の事前通知を行う前に、必ず税理士に意見聴取が行われます。

添付書面提出のメリット

添付書面には、相続税の申告の際に収集した書類や資料をはじめ、税理士が調査した名義預金の調査結果、小規模宅地等の特例を適用するにあたり採用した具体的な計算根拠、その他相続人から聴取した事情等について記載されます。
添付書面に記載された事項は、税務の専門家である税理士からの申告書に関する情報であることから、税務署における申告審理や調査の要否等の判断において積極的に活用することが期待されています。

その上で、税務署において事前通知前の税理士に対する意見聴取の段階で疑問が解消し、結果として税務調査の必要がないと判断されると、納税者の自宅等に臨場して行う帳簿書類等の調査にいたらないこともあります。
また、税務調査に移行した場合でも、意見聴取によって予め疑問点が明らかにされているため、調査がスムーズに行われることが期待できます。

なお、意見聴取後にすみやなに修正申告書を提出した場合は、原則として加算税は賦課されないことになっています。

加算税

無申告加算税

申告期限後に申告書が提出されたときに賦課されます。
賦課される割合は、納付すべき税額の15%、納付すべき税額が50万円を超える部分については原則として20%になります。

過少申告加算税

修正申告書が提出された場合に賦課されます。
賦課される割合は、納付すべき税額の10%ですが、納付すべき税額が50万円又は期限ない申告における納付すべき税額のいずれか多い額を超えるときは、その超える部分について15%となります。

但し、修正申告書の提出が、更生があることを予知したものでない場合は、その提出が事前通知後にあったときは納付すべき税額の5%、事前通知前にあったときは0%になります。

重加算税

過少申告加算税に該当する場合で課税標準額又は税額の計算の基礎となるべき事実を隠蔽又は仮装した場合に賦課されます。
賦課される割合は、納付すべき税額の35%(法定申告期限までに申告しない場合は40%)になります。

相続税の納付

相続税の申告書提出期限までに金銭で即納することが原則です。

延納

次の要件を満たす場合は、相続税を延納(分割で支払うこと)ができます。
但し、延滞税や加算税は延納の対象になりません。

1 納税額が10万円を超えること

2 納期限までに金銭で納付することが困難なこと

3 担保を提供すること ※

4 納期限までに延納申請書を提出すること

※担保の種類
国債・地方債、社債その他有価証券、土地、建物、保証人の保証等

延納が認められた場合、延納税額につき、相続財産に占める不動産の割合と延納期間に応じた利子税が課されます。

物納

次の要件を満たす場合は、相続税を物納(代物弁済)ができます。
但し、延滞税や加算税は延納の対象になりません。

1 延納によっても金銭納付することが困難な金額の範囲内であること

2 物納申請財産が定められた種類の財産で申請順位によっていること※1

3 申請書・物納手続関係書類を期限までに提出すること

4 物納申請財産が物納適格財産であること※2

※1 物納の順位  
順位 物納できる財産の種類
第1順位 不動産・船舶・国債・地方債・上場株式等
不動産・上場株式等のうち物納劣後財産に該当するもの
第2順位 非上場株式
非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
第3順位 動産

※2 物納に充てることができない財産

など

相続税申告時における誤りやすい事例

相続税の2割加算

相続税の計算上、被相続人の配偶者と一親等内の血族以外は2割加算の対象となります。
したがって、被相続人の兄弟姉妹が財産を相続した場合、兄弟姉妹は二親等となるため2割加算の対象となります。

また、孫養子が祖父母の財産を相続した場合、孫養子は一親等ですが同じく二割加算の対象となります。
(代襲相続人としての孫養子は除かれます)

基礎控除の計算における法定相続人

相続税の基礎控除は、
3,000万円+法定相続人×600万円
で算出します。

被相続人と養子縁組をしていた人は民法上の相続人に該当します。
しかし、相続税の基礎控除の計算における養子は、被相続人に実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人を限度に法定相続人の数に加算します。

生命保険金

契約者・被保険者が被相続人、受取人が相続人の生命保険金は、受取人の固有財産のため遺産分割の対象となりません。
一方、相続税の計算においてはみなし相続財産として相続税の課税対象となります。

この場合、
法定相続人×500万円
が非課税財産となります。

一方、被相続人が前納保険料を支払っていた場合において、相続人が保険金と一緒に前納保険料を受取ると前納保険料についてもみなし相続財産として相続税の課税対象となるため注意が必要です。

準確定申告における還付金

被相続人に一定の所得がある場合、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税を行う必要があり、これを準確定申告といいます。
相続人が準確定申告を行った場合、所得税の還付金を受取ることがあります。

この還付金を受取るのは相続人ですが、還付請求権は、被相続人の死亡後に発生するとしても、被相続人の潜在的な請求権が被相続人に帰属しています。
そしてこの還付金請求権が被相続人の死亡により顕在化したものであると考えられるため、この請求権に基づいて還付金は相続税の課税対象となります。

被相続人にかかる未支給年金

被相続人が生前受取る予定であった未支給年金について、請求により遺族が受取ることがあります。
当該未支給年金は、被相続人が生きていれば被相続人に支給されるはずだったものです。

しかし、未支給年金については、被相続人の遺族が、未支給年金を自己の固有の権利として請求するものであり、被相続人の死亡に係る相続税の課税対象にはなりません。
この場合、未支給年金は受け取った遺族の一時所得となります。

被相続人が契約者、相続人が被保険者の生命保険契約

被相続人が契約者・被保険者、相続人が保険金受取人である保険契約において、被相続人の死亡という保険事故により相続人が受取る死亡保険金はみなし相続財産として相続税が課税されます。

この場合、死亡保険金は一定の範囲で非課税財産として取り扱われます。
(法定相続人×500万円)

一方、被相続人が保険契約者、相続人が被保険者の生命保険の場合、被相続人の死亡によっても保険事故(被保険者の死亡)が発生していません。
この場合、相続開始時の解約返戻金相当額が相続税の課税の対象となります。

被相続人が生前購入したお墓にかかる借入金

相続財産の価額から差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものです。
差し引くことができる債務には、借入金や未払金などのほか、被相続人が納めなければならなかった税金で、まだ納めていなかったものも含まれます。

一方、被相続人が生前に購入したお墓については、相続税の課税価格に算入されない非課税財産として取り扱われます。
そのため、非課税財産購入に係る借入金については債務控除することはできません。

未納の固定資産税・住民税

固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)現在において、土地・建物・償却資産を所有している者が納税義務者となります。
住民税についても、毎年1月1日に市区町村内に住所がある個人や、住所はないが事務所や事業所、家屋敷がある個人が納税義務者となります。

相続税の計算において債務控除の対象となるのは、被相続人に納付義務が認められる税金で、まだ納めていなかったものが含まれます。
固定資産税・住民税とも被相続人に納付義務が認められる税金のため、未払の税額が残っている場合は債務控除の対象となります。

なお、相続人の責めに帰すべき事由により納付することとなった延滞税、利子税や加算税については、債務控除の対象とはなりません。

団体信用生命保険により返済免除となる住宅ローン

相続税の申告にあたり、被相続人が借入れていた住宅ローンを相続債務として相続税の申告を行う方がいます。
相続財産の価額から差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものです。

具体的には、借入金や未払金などのほか、被相続人が納めなければならなかった税金で、まだ納めていなかったものなどです。
団体信用生命保険契約に基づき返済が免除される住宅ローンは、被相続人の死亡により支払われる保険金によって補てんされることが確実であって、相続人が支払う必要のない債務です。
したがって、相続税の課税価格の計算上、債務として差し引くことはできません。

相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産

相続などにより財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内に贈与を受けた財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産(贈与のときの価額)を加算します。
この相続税の課税価格に加算する贈与を受けた財産中、贈与税の基礎控除(110万円)以下の財産については、贈与税の申告が不要となるため、相続税の課税価格に加算しない方がいます。

しかし、被相続人から生前に贈与された財産のうち相続開始前3年以内に贈与されたもので、贈与税の非課税財産に当たらない場合には、贈与税が課されていたかどうかに関係なく加算します。
したがって、贈与税の基礎控除額(110万円)以下の贈与財産や死亡した年の贈与財産の価額も加算することになります。
なお、贈与税が課されている場合には、その人の相続税額からその贈与税額を控除します。

相続には、さまざまな種類があり、手続を行う期限があります。期日が過ぎて最適な相続方法の手続をとることができなかったということがないように、相続が始まったら遺された相続財産をできるだけ早く調査し、間違わない相続の種類を選びましょう。被相続人が遺した正確な相続財産が分からない場合や、自分にとって最適な相続がどれか分からないなど、お悩みであれば、弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士へご相談ください。

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