遺言・相続・遺産分割
- 相続放棄はいつまでにする必要がありますか?
- 相続放棄をするときの注意点は?
- 限定承認とは何ですか?
相続の単純承認、相続放棄、限定承認それぞれのの内容や注意点について、オールワン法律会計事務所の弁護士が分かりやすく解説します。
単純承認
相続人が単純承認をすると、被相続人の権利義務を無限に相続します。
(民法920条)
また、次のような場合には、相続人は単純承認したものとみなされます。
相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき
相続人が自己のために相続の開始があったことを知ってから3か月以内に相続放棄・限定承認の手続をしないとき
相続人が、限定承認や相続放棄をした後でも、相続財産の全部や一部を隠匿したり、これを消費したり、知っていながら相続財産の目録に記載しなかったとき
(民法921条)
相続放棄
相続人が相続放棄をすると、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます。
(民法939条)
相続放棄をすると、被相続人のプラス財産・マイナス財産一切を相続することがなくなります。
相続放棄の手続は、自分のために相続が開始したことを知ってから3か月以内に、被相続人の住所地の家庭裁判所において、相続を放棄する旨の申述を行います。
この3か月の期間については、相続財産を調査する必要があるなどの事情があれば、家庭裁判所に期間延長をお願いし、家庭裁判所が認めれば延長されます。
相続放棄の手続は、郵送で行うこともできますし、弁護士に依頼して代わりにやってもらうこともできます。
※相続放棄をするときの注意点
相続放棄をするについては、注意することがあります。
例えば「形見分け」。
相続人が、被相続人が遺した貴金属などを生前親しかった被相続人の友人等に形見分けとして贈与することがあります。
この贈与した貴金属等に経済価値があると、形見分けによって「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」にあたるとされ、単純承認が擬制されてしまう結果、相続放棄ができなくなってしまうのです。
この他にも被相続人が借りていたアパートやマンションで亡くなった時も注意が必要です。
こうした場合、大家から早く部屋を明け渡すように要求された相続人が、被相続人の家財道具等を急いで「処分」することがあります。
やはり、処分した家財道具の中に一定の経済価値があるものが含まれている場合は相続放棄ができなくなる可能性があります。
そもそも、相続放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます。
(民法939条)
したがって、相続放棄をすれば、保証等をしていた場合を除いて、被相続人が借りていた部屋の原状回復義務を負うことはありません。
とはいえ、それでは義理が立たないというのであれば、どのような家財道具を処分したのか写真等で記録をしておくことも必要です。
限定承認
限定承認とは、被相続人のプラスの財産を限度としてマイナス財産を相続する手続です。
例えば、プラスの相続財産が5,000万円であることが分かっているが、マイナスの財産が分からないとき。
限定承認をしておけば、マイナスの財産が1億円あることが判明しても、債権者に返済する必要があるのはプラスの財産である5,000万円が限度です。
マイナスの財産が1,000万円しかなければ、差額の4,000万円は相続することができます。
限定承認は、相続人が複数いるときはその全員で行う必要があります。
相続に関する手続きには遺産分割をはじめ、さまざまなものがあります。
また、相続財産の相続放棄や限定承認手続き、準確定申告や相続税の申告・納付など期限の定めがあるものについては、期限を経過してしまうと思わぬ不利益が生じることになります。
オールワン法律会計事務所では、相続に関するさまざまな手続きにワンストップで対応させていただきます。
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