遺言・相続・遺産分割

  1. 生命保険金は遺産分割の対象になりますか?
  2. 相続税の計算で相続税はどのように評価されますか?
  3. 相続放棄をすると生命保険金は受取れませんか?

相続手続において生命保険金はその他の相続財産と異なる取扱いがなされます。
オールワン法律会計事務所の弁護士が相続と生命保険について解説します。

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生命保険金に課される税金

生命保険金には、その契約の形態により次のような税金が課されます。

死亡保険金に[相続税]が課税される場合

契約者 被保険者 保険金受取人

[契約者]と[被保険者]が同一

死亡保険金に[所得税(一時所得)]が課税される場合

契約者 被保険者 保険金受取人

[契約者]と[受取人]が同一

死亡保険金に[贈与税]が課税される場合

契約者 被保険者 保険金受取人

[契約者]、[被保険者]、[受取人]が別々

死亡保険金に相続税が課税される場合の非課税枠

[非課税枠] = 500万円 × 法定相続人の人数  ※1

※1
相続放棄をした者がいる場合

相続放棄をした者がいる場合も相続放棄がなかったものとして法定相続人数を計算します。
(相続税法15条2項)

養子がいる場合

非課税枠の計算に算入できる養子の数
被相続人に実子がいる、又は実子がなく養子の数が1人
→1人
被相続人に実子がなく、養子の数が2人以上
→2人
(相続税法15条2項1号、2号)

実子とみなすことができる場合

ア 特別養子縁組(民法817条)で養子となった者
イ 被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子となった者
ウ 代襲相続人
(相続税法15条3項)

生命保険金の相続財産該当性

被相続人が被保険者の場合において

保険金受取人が被相続人本人

相続財産に該当します。

保険金受取人が「相続人」と指定されている場合

相続財産に該当せず、相続人の固有財産となります。
(最判昭和40年2月2日民集19巻1号1頁等)

相続人が取得する保険金請求権の割合は法定相続分となります。
(最判平成6年7月18日民集48巻5号1233頁)

保険金受取人が特定の者と指定されている場合

指定された者の固有財産となります。
(大判昭和11年5月13日民集15巻11号877頁)

生命保険金の特別受益該当性

特別受益とは

被相続人から生前贈与を受けていた相続人がいる場合、その生前贈与を相続財産の先渡しと考えて相続開始時に調整をする(当該相続人の相続分から生前贈与相当の財産を控除する)制度のことです。

民法903条1項
「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする」

死亡保険金の特別受益該当性については、次のように判断されています。

受取人とされた相続人が取得する生命保険金請求権は民法第903条第1項に規定する遺贈又は贈与に該当しない。
ただし、保険金の額,この額の遺産の総額に対する比率,保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係,各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して,保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,特別受益に準じて持戻しの対象となる。
(最判平成16年10月29日民集59巻7号1979頁)

受取人が先に死亡していた場合の保険金の取扱い

受取人が契約者・被保険者より前に死亡していることがあります。

受取人が死亡した場合、速やかに受取人を変更すればよいのですが、契約者が受取人変更を失念しているとこうした事態が生じます。

この場合、その保険金の受取人は、死亡した受取人の相続人となります。

問題は受取人の相続人が複数いる場合の保険金の受取割合です。

最高裁は、受取人の相続人の受取割合について、民法427条の規定により、原則として相続分ではなく、各人平等の割合で受取ることになると判示しています(最判平成5年9月7日)。

したがって死亡した受取人に妻と子2人がいる場合、妻2分の1、子各4分の1ではなく、各人が3分の1の割合で保険金を受け取ることになります。

一方、契約者・被保険者が受取人を単に「相続人」としていた場合は、保険金の受取割合は法定相続分に従うことになります。

死亡保険金を受取人以外の者が受取った場合

保険金受取人の実質判定について、相続税法基本通達3-12は、

「保険契約上の保険金受取人以外の者が現実に保険金を取得している場合において、保険金受取人の変更の手続がなされていなかったことにつきやむを得ない事情が認められる場合など、現実に保険金を取得した者がその保険金を取得することについて相当な理由があると認められるときは、3-11(「保険金受取人」の意義)にかかわらず、その者を法第3条第1項第1号に規定する保険金受取人とするものとする。」

と規定しています。

したがって、

保険金受取人の変更がなされていないことにやむを得ない事情がある場合や、契約者の保険金受取人変更の書面が残されている場合は、受取人以外の者が死亡保険金を受け取った場合も、その者が保険金受取人として取り扱われることになります。

具体的な事例としては、

独身時代に締結した生命保険契約で両親を保険金受取人として指定したが、結婚後も保険金受取人の変更をしないまま死亡した場合において、その者の配偶者や子が受取る場合、

保険金受取人としていた配偶者と離婚後に再婚した場合において、保険金受取人を変更しないまま損の者が死亡した場合において、再婚相手である配偶者が死亡保険金を受け取る場合、

等が考えられます。

高度障害保険金等を受領した場合の課税関係

生命保険契約に基づき、被保険者が疾病等により重度の障害状態になったことを理由として、高度障害保険金、高度障害給付金が支払われることがあります。

被保険者が保険料を負担し、被保険者がこれらの保険金を受けると所得税の課税関係が生じます。

ただし、所得税基本通達9-21は、

「疾病により重度障害の状態になったことなどにより、生命保険契約又は損害保険契約に基づき支払を受けるいわゆる高度障害保険金、高度障害給付金、入院費給付金等(一時金として受け取るもののほか、年金として受け取るものを含む。)は、令第30条第1号に掲げる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当するものとする。」

と規定しています。

「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」は、所得税法施行令30条・所得税法9条1項17号によりを非課税として取り扱われることになります。

保険金受取人が被保険者と異なる場合

保険金受取人が被保険者と異なる場合も、その受取人が被保険者の配偶者、直系血族、生計を一にするその他の親族である場合は、自己の身体の障害に起因して受取るものと同様に非課税として取り扱われることになっています。

(所得税法基本通達9-20)

さらには、生命保険契約の保険料が保険金受取人以外の者が負担していた場合であっても、障害、疾病その他これらに類する保険事故で死亡が伴わないものの場合は、相続税や贈与税の課税の対象とならないため、贈与税は課税されません。

入院給付金

入院給付金についても、高度障害保険金や高度障害給付金と同様に、所得税法上非課税として取り扱われることになります。

ただし、被保険者(被相続人)が入院中に死亡した場合などで未支給の入院給付金がある場合は、相続税法上みなし相続財産とされる死亡保険金と異なり、被相続人の本来の財産として取り扱われることになります。

法人保険の保険金を受け取った場合の収益の認識時期

法人保険とは

一般的に法人保険とは、契約者・保険金受取人が法人、被保険者が従業員(役員を含む。)という契約形態の生命保険契約のことを指します。

代表的な商品には、長期平準定期保険(保険期間満了時における被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、当該保険に加入したときにおける被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超えるもの)や、逓増定期保険(保険期間の経過により保険金額が5倍までの範囲で増加する定期保険のうち、その保険期間満了時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの)などがあります。

これらの商品は、定期保険のように保険料負担を抑えながら、終身保険のような長期保障を得ることができます。

死亡保険金や解約返戻金は、経営者に万が一のことが起こった際や、会社が危機に陥った時の基金準備として活用されます。

収益の認識時期

例えば会社の役員が死亡し、法人が死亡保険金を受け取っていた場合、どの時点で保険金を収益として認識する必要があるのか問題となります。

収益の認識時期としては、①役員が死亡した時点、②会社から保険会社に保険金請求をした時点、③会社が保険会社から支払通知を受けた時点、が考えられますが、原則として③の時点で収益を認識することになります。

①の時点では保険金が支払われる要件が一つ具備されたにすぎず、②の時点でも保険会社の調査等によっては保険金が支払われないこともあるため、確実に保険金を受け取ることができる③の時点で収益を認識することになります。

保険金を受取るまでの経理処理

会社は保険金を受取るまでは、その生命保険金請求権(未収保険金)を資産計上する必要があります。

他方、役員等の死亡によりその遺族に支払うことが確定した退職手当金や弔慰金については、課税時期に未払いになっているものについては負債として計上することになります。

なお、会社が役員等の相続人に死亡弔慰金を支払った場合、被相続人が業務上死亡した場合は被相続人の死亡当時の普通給与の3年分、業務外の死亡の場合は同じく半年分、相続税の計算において非課税とされています。

したがって、法人が弔慰金を支払っても債務として控除することはできません。

税務調査と生命保険

契約者・被保険者が被相続人、受取人が相続人となる生命保険契約において保険事故が発生すると、受取人は固有の財産としての生命保険金を受領します。

上記保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象になる一方、一定の範囲で非課税財産として取り扱われることになります(相続税法12条)。

一方で、契約者が被相続人、被保険者が被相続人以外の生命保険契約の場合、相続が発生しても保険金が支払われないため、相続人が生命保険契約の存在に気付かず、生命保険契約が相続財産から漏れてしまうことがあります。

(この場合、生命保険契約の解約返戻金相当額が相続税の課税対象となります。)

このような場合に税務署は生命保険契約をどのようにして調べるのでしょうか。

支払調書

生命保険会社は、生命保険金等を支払った場合、支払事由ごとに決めらられた法定調書(支払調書及び合計票)を提出することが義務付けられています。

したがって、税務署は上記支払調書によって生命保険契約の存在を把握することができます。

生命保険契約等の一時金の支払調書

生命保険契約等から一時期の支払があったときに、支払った日の属する年の翌年1月31日までに、納税地の所轄税務署長に提出されます。

支払調書の提出が求められるのは、1回の支払金額が100万円を超えるものです。

生命保険契約等の年金の支払調書

生命保険契約等から年金の支払があったときに、支払った日の属する年の翌年1月31日までに、納税地の所轄税務署長に提出されます。

支払調書の提出が求められるのは、同一人に対する年中年金の支出金額が20万円を超えるものです。

生命保険金・共済金受取人別支払調書

その月中に生命保険金や共済金を支払ったときに、支払った日の属する月の翌月15日までに、納税地の所轄税務署長に提出されます。

支払調書の提出が求められるのは、保険金額が100万円を超えるものです。

法定調書

2015年(平成27年)の改正以前は、保険契約者が死亡し、生命保険契約が相続人等に引き継がれても、保険金の支払事由が生じていないため調書が提出されず、上記生命保険契約者の変更を税務署が把握することは困難でした。

そこで法改正が行われ、生命保険契約又は損害保険契約の契約者が死亡したことに伴い、これらの契約の契約者変更が行われた場合は、その変更の効力が生じた日の属する年の翌年1月31日までに、一定の事項を記載した調書を、その調書を作成した営業所との所在地の税務署長に提出しなければならないとされました。

この法改正によって、保険契約者が死亡し、当該保険契約を相続人が引き継いだ場合、こうした事実を税務署が把握できることになりました。

相続には、さまざまな種類があり、手続を行う期限があります。期日が過ぎて最適な相続方法の手続をとることができなかったということがないように、相続が始まったら遺された相続財産をできるだけ早く調査し、間違わない相続の種類を選びましょう。被相続人が遺した正確な相続財産が分からない場合や、自分にとって最適な相続がどれか分からないなど、お悩みであれば、弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士へご相談ください。

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