離婚・親権問題

  1. 夫の戸籍に入っていた妻の戸籍は離婚後にどうなりますか?
  2. 離婚後も婚姻期間中の姓を使用する場合どうすればいいですか?
  3. 離婚後に母の戸籍に子を入れる場合どうすればいいですか?

婚姻期間中の姓をそのまま使用する場合の手続、離婚後に母の戸籍に子を入籍させる手続など、オールワン法律会計事務所の弁護士が解説します。

離婚についての
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離婚後の妻(夫)の戸籍

現行の戸籍法では、同一の戸籍に在籍できるのは「夫婦」と「氏を同じくする子」となっています。
(但し、外国人と結婚した人、配偶者がいない人で新たに戸籍を編製する場合は、その人と氏を同じくする子ごとに戸籍を編製します。)
(戸籍法6条)

したがって、離婚した場合は、婚姻に際して相手方の氏を称した人は、婚姻中の戸籍から除かれ、原則として復氏し(旧姓に戻り)、婚姻前の戸籍に入籍することになります。
もっとも、婚姻により復氏する場合も、希望すれば新たな戸籍を編製することができます。

さらに、

① 子を自分の戸籍に入れたい場合で、婚姻前の戸籍に戻ると三世代となってしまう場合

② 婚姻前の戸籍が除籍(戸籍に入っていた人が全員死亡している等)されている場合

この①、②の場合は、元の戸籍に戻れないため、新たな戸籍を編製する必要があります。
また、婚姻以前の戸籍に入籍後、新戸籍を編製することもできます。

離婚後の妻(夫)の姓 婚姻中の姓を継続して使用したい場合

婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復することになります。
(民法767条1項 復氏)

離婚後に婚姻中の氏を続けて使いたいと考えた場合は、離婚の日から3か月以内に「婚氏続称」の届出をすることによって婚氏(結婚していた時の姓)を使うことができます。
(民法767条2項、戸籍法77条の2)

具体的には、離婚の届出と同時に婚氏続称の届出をすると、届出人について直ちに婚姻中の氏で新戸籍が編製されます。
一旦離婚前の戸籍に復籍した者から離婚後3か月以内に婚氏続称の届け出があった場合は、

① 届出人が復籍後の戸籍で筆頭者でないとき 及び
② 届出人が復籍後の戸籍の筆頭者で、かつ、その戸籍に同籍者があるとき

この①②の場合は、その届出人についてだけ新戸籍が編製されます。
これは、婚氏続称が、氏が変わることにより本人が社会的な不利益を受けないための制度である以上、その効果を同籍者にまで及ぼす必要がないためです。

離婚後に母の戸籍に子を入籍させたいとき

子の氏は、生まれたときの父母の氏となります。
(民法790条)
そして、父母の氏を称する子は、父母の戸籍に入ることになります。
(戸籍法18条)

したがって父母が離婚した場合も、子の氏はそのままで、戸籍についても従来の戸籍のままとなっています。
母が婚姻に際して父の氏を称し、父の戸籍に入っていた場合、母は婚姻前の戸籍に復籍するか、新たな戸籍を編製することになるので、離婚後は母と子の戸籍は異なります。

母が婚氏続称(婚姻中の氏を離婚後も使うこと)を選択すれば、母と子の氏は同じになりますが、この場合も母と子の戸籍は別のままです。
子を母の戸籍に入籍するためには次の手続が必要となります。

子の氏の変更許可の審判申立

子の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、子の氏変更についての許可の審判を申立てます。
(家事事件手続法160条)

子が15歳未満の場合は、子の法定代理人(=親権者)が、子に代わり申立を行うことになるため、離婚に際して母が親権者となっている場合、母が申立を行うことになります。
(民法791条3項)

入籍届の提出

子の氏変更の許可を得た後、市区町村長に対して、母の氏を称して母の戸籍に入籍することの届出を行います。
(戸籍法98条1項)

上記届出についても、子が15歳未満の場合は、子の法定代理人(=親権者)が子に代わって行うことになります。

連れ子との離縁

再婚相手の連れ子との養子縁組

連れ子がいる者と結婚する場合、その連れ子と養子縁組をすることがあります。
連れ子のいる男性と女性が結婚するときに、男性の連れ子と女性が養子縁組をするようなケースです。

養子縁組をしないと、妻と夫の連れ子は他人のままです。
夫が亡くなって妻が財産を相続した後、その妻が亡くなると、妻が残した相続財産を子は相続することができないなどの問題が起こります。

養子縁組は、養親となろうとする者と養子となろうとする者の合意に基づく養子縁組届を届出ることで成立します(民法799条・739条)。
なお、養子となろうとする者が15歳未満の場合は、法定代理人が本人に代わって縁組の承諾をすることができます(民法797条1項)。

養子縁組が成立すると、養子は養親の嫡出子としての身分を取得します(民法809条)。
したがって、養親である妻が亡くなると、嫡出子である養子がその財産を相続することになります。

離婚と養子縁組

相手の連れ子と養子縁組した夫婦が離婚する場合、夫婦が離婚しても連れ子との養子縁組は自動的に解消されません。
したがって連れ子と養子縁組した人が亡くなると、養子である連れ子が相続人となります。
そこで連れ子と養子縁組した人が離婚するときには、連れ子とも離縁するのが一般的です。

当事者は協議で離縁でき、養子が15歳未満の場合は養親と養子の離縁後に法定代理人となる者の間で協議により離縁できます(民法811条)。
しかし、協議により離縁できない場合は、離縁調停を申立てることになります。
さらに調停でも離縁できないと裁判によって離縁することになります。

離縁の訴えを提起できるのは、
①他の一方から悪意で遺棄されたとき。
②他の一方の生死が三年以上明らかでないとき。③その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
に限られます(民法814条)。

離婚の種類と戸籍への記載

協議離婚

結婚したときに妻が夫の戸籍に入籍していた場合、

夫の戸籍には「〇年〇月〇日 〇〇と協議離婚届提出」と記載されます。
妻の戸籍には「〇年〇月〇日 〇〇と協議離婚届提出 〇〇の戸籍に入籍につき除籍」などと記載されます。

離婚届を提出した日が離婚の日となります。

離婚届には、離婚する2人の署名・押印のほか、成人の証人の記名・押印が必要となります。
なお、証人となるには特に資格等の要件はありません。
(夫(妻)側だけで2人の証人を準備しても構いません。)

本籍地以外に届け出る場合は、戸籍謄本も必要です。
離婚届の受理証明書を取得することで離婚を明らかにすることができます。

調停離婚

戸籍には「離婚の調停成立日 〇年〇月〇日」と記載されます。

調停が成立した日が離婚の日となります。
離婚が成立した日から10日以内(調停が成立した日を1日目として10日以内)に、調停調書の謄本と共に離婚届を提出する必要があります。

本籍地以外に届け出る場合は、戸籍謄本も必要です。
原則として、調停の申立人が届出人となります。

調停調書の謄本は、調停離婚成立後に家庭裁判所書記官が作成するため、入手するのに数日を要することになります。

裁判離婚

戸籍には「離婚の裁判確定日 〇年〇月〇日」と記載されます。

判決が確定した日が離婚の日となります。
判決が確定してから10日以内に、判決の謄本と確定証明書と共に離婚届を提出する必要があります。

本籍地以外に届け出る場合は、戸籍謄本も必要です。
原則として、原告が届出人となります。

判決は,判決正本の送達を受けた日の翌日から起算して2週間以内に控訴がなければ確定しますので、その後に確定証明書を裁判所に申請し取得します。

離婚歴の抹消

離婚後に他の市区町村に転籍や分籍をすれば、現戸籍には離婚の事実は記載されません。

しかし、戸籍を遡れば離婚したことは分かります。

したがって、離婚歴を消すことはできません。

離婚と住民票

住民票とは

住民票とは、住民の居住関係を公証する公募であり(住民基本台帳法、以下「住基法」1条)、住民票の写しによって市区町村の住民の居住関係が証明されます。

住民票に記載する法定記載事項(基本事項)には、①氏名、②出生の年月日、③男女の別、④世帯主の氏名及び世帯主との続柄、⑤戸籍の表示、⑥住民となった年月日、⑦住所(同一市区町村内で新たに住所を変更した者については、住所及びその住所を定めた日)、⑧転入年月日及び従前の住所、があります(住基法7条)。

このうち世帯主とは、「主として世帯の生計を維持する者であって、その世帯を代表する者として社会通念上妥当と認められている者」とされています(住民基本台帳事務処理要領)。
公的な助成金や企業の住宅手当等も、この世帯主にのみ支給されるのが一般的です。
夫婦の場合、夫が世帯主となることが多いと思われますが、世帯主は男女の別を問わないので妻が世帯主となっても問題ありません。

離婚と住民票

夫が世帯主の夫婦が別居することになり、妻が自宅をでて別の所で暮らすことになると、妻は転居先で自分を世帯主とする住民票を作成することになります。
転居した場合は、転居先が同一市町村内であっても、別の市町村であっても、転入・転居してから14日以内に市区町村長に届出をしなければならないとされています(住基法22条、23条)。

ただし、子ども一緒に別居する場合など、住民票を移さないこともあります。
また、DV案件の場合は、加害者に居所を隠しておくために住民票を移してはいけない場合もあります。

離婚が成立すると、戸籍に離婚したことが記載されますが、転居や転出の届出がなされるまでは住民票に異動は生じません。
したがって、離婚をした場合は自分で住民票の異動届を提出する必要があります。

仮に異動届が提出されない場合は、市区町村長は職権で住民票中、婚姻によって氏を改めた者について当該人の氏、戸籍の表示、続柄を修正し、備考欄に修正した旨を記載することになっています。

生命保険の解約

被保険者による保険金受取人変更の可否

婚姻中に[契約者][保険金受取人]夫、[被保険者]妻という契約形態で夫が保険契約を締結することがあります。
離婚後に当該保険契約が残されていると、元妻は自分が亡くなると、その生命保険金が元夫に支払われることなります。

保険法では、保険金受取人の変更は、保険事故が発生するまでは[保険契約者]が保険会社に対する意思表示で行うことができ、[被保険者]の請求で保険金受取人の変更ができる等の規定はありません。
したがって、元夫が手続をしてくれない限り、元妻が保険金受取人を変更することはできません。

被保険者による生命保険契約の解除

保険法38条は、生命保険契約の当事者以外の第三者を被保険者とする場合、生命保険契約の効力が生じるためには当該第三者の同意が必要であると規定しています。

そして保険法58条1項3号は、死亡保険契約の被保険者が当該死亡保険契約の当事者以外の者である場合、被保険者からの保険契約の解除請求が認められる要件として、
「保険契約者と被保険者との間の親族関係の終了その他の事情により、被保険者が38条の同意をするに当たって基礎とした事情が著しく変更した場合」
と規定しています。

夫婦が離婚した場合、妻が保険法38条の同意をするにあたって基礎とした保険契約者の妻であるという事情が著しく変更したといい得ます。
したがって元妻は、保険法58条1項3号による保険契約の解除請求を検討することになります。

なお、同号によると、保険契約者の元夫は、元妻に対して保険契約を解除する義務を負うにとどまり、元妻の解除請求によって直ちに保険契約が解除されるわけではありません。
元夫が、保険会社に対して、解除の意思表示をしない場合、元妻は、元夫に対して解除の意思表示を求める訴えを提起する必要があります。

生活資金を確保するリバースモーゲージの活用

リバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、一般的には高齢者向けに老後生活資金を融資する制度のことです。
高齢者が所有する自宅に金融機関等を根抵当権者とする担保(根抵当権)を設定します。

その上で、金融機関等から年金のように毎年一定額を受取り(一括で受取ることもできます)、最終的には死亡した後、自宅を売却して借りていたお金を返済するものです。
リバースモーゲージは金融機関だけではなく、全国の社会福祉協議会などでも取扱いがあります。
それぞれ貸付金限度額、資金使途の制限、対象物件等が異なります。

金融機関が取り扱うリバースモーゲージでは借入人が生存中に毎月利息分のみ支払い、元金は借入人の死亡後に相続人が自宅を売却する等により一括返済します。
社会福祉協議会が取り扱うリバースモーゲージでは、借入人の死亡などの理由で契約が終了したときに、相続人が借入元金および利息の返済をすることが必要となります。

リバースモーゲージのメリット

〇住宅や土地を担保にして、自宅に住み続けながら老後資金の借り入れができる

〇借入期間中は利息の返済だけでよく、本人が生存中に元本の返済をする必要がない

〇借入人が死亡した場合に配偶者が契約を引き継げる商品を選べば配偶者も安心して暮らせる

リバースモーゲージのデメリット

▲長生きすると当初設定された融資限度額までの資金を費消してしまう可能性がある
(一般的には契約期間は借入人死亡時までとなっているので、それより前に満期が設定されている契約の場合)

▲定期的に担保物件の査定が行われ評価額が下落すると受けことができる資金が減少又は停止する

熟年離婚後のリバースモーゲージの活用

離婚において夫から妻に自宅が財産分与されることがあります。
いわゆる熟年離婚で妻が離婚まで専業主婦だった場合、夫から年金分割を受けても十分な老後資金を確保することができない可能性があります。

そうした場合、リバースモーゲージを活用すれば、妻は年金と併せて老後資金を確保することができます。

離婚により生じた悩み

厚生省(当時)の人口動態調査・人口動態社会経済調査

厚生省では出生・死亡・死産・婚姻及び離婚の事象について「人口動態調査」を実施していました。
もっとも、これらの統計は「戸籍の届書」及び「死産届書」によっているため、調査の事項に制約があります。

これを補うために、昭和37年度より毎回テーマを変えて「人口動態社会経済面調査」が実施されました。
離婚については「離婚家庭の子ども」をテーマに平成9年6月に親権を行う子どもを有して協議離婚した者を対象に離婚前後の子育て環境の状況を明らかにするため、同年10月に調査が行われました。

離婚により生じた悩み(複数回答)

悩みの内容 親権者(男) 親権者(女)
子どものこと 69.6(第1位) 66.8(第2位)
離婚したこと 21.4 9.7
近所づきあい 19.9 10.2
勤務先の雰囲気 13.4 4.2
親のこと 28.0 17.0
経済的なこと 28.6 73.0(第1位)
仕事と子育ての両立 49.4(第2位) 43.5(第3位)
自分自身の健康 22.0 25.4
家事のこと 42.6(第3位) 7.3
再婚のこと 28.0 8.6
転居による環境の変化 1.2 10.5
就職のこと 7.4 27.0
その他 10.1 6.3

悩みの内容で「子どものこと」は親権者(男)では第1位、親権者(女)でも「経済的なこと」に次いで第2位を占めています。
さらに「子どものこと」に関する悩みを掘り下げて質問すると次のような回答となりました。

子どもに関する悩み(複数回答)

悩みの内容 親権者(男) 親権者(女)
子どもとの意思の疎通 14.1 10.1
接する時間が少ない 47.4(第1位) 42.1(第2位)
進学や就職 28.6(第3位) 28.0(第3位)
勉強のこと 28.6(第3位) 16.1
別れた配偶者との面会 27.4 27.3
情緒の問題 40.2(第2位) 43.5(第1位)
素行上の問題 20.9 10.7
学校等での生活が上手くいかない 8.5 10.2
その他 9.0 11.4

 

こうしてみると、子どもに関する悩みは、どこの家庭にでもあるものが多いといった印象です。
「接する時間が少ない」は親権者(男)で第1位、親権者(女)でも「情緒の問題」に次いで第2位ですが、共働きの場合はやはり子どもと接する時間が少ないと感じている親が多いでしょうから、親が離婚した家庭特有の悩みとはいえないと思われます。

離婚後にもやらなければならない様々な手続きがあります。
様々な離婚後の手続きをできるだけ効率よく進めるため、法律の専門家にご相談ください。

問題解決の近道は、
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