開業医・医療法人の法律問題

開業医・医療法人の方へ

  1. 勤務医師、看護師、受付スタッフの労務問題……
  2. 医師の離婚、相続など……

医師であるがゆえに一般的な場合とは異なる特殊な問題が数多くあります。また、医療法人の場合、平成27年の医療法改正により、定款変更など対応すべき事項が多くあります。オールワン法律会計事務所の弁護士が、開業医・医療法人特有の法律問題について詳しく解説します。

医療法人の法律問題についての
お問い合わせ・ご相談予約

医療法人内部統制システム整備の必要性

平成27年の改正後医療法には、医療法人の理事又は監事は、その任務を怠った時には当該医療法人に対して、その職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、第三者に対して損害を賠償する責任を負うと規定されています(医療法第47条、第48条)。

理事自らが不正行為を行っていた場合のみならず、他の理事や理事長の不正行為を放置した場合や、不正行為を防止するための内部統制システムを予め構築していなかった場合にも責任を問われる可能性があります。

したがって、院長が事務長一人に預金通帳や印鑑の管理を任せっきりにしているなど、内部統制システムが機能していない場合は、早急に内部統制システムを構築していく必要があります。

理事等を確保するための
医療法人の定款変更

平成27年の医療法改正では、都道府県知事の許可を受けた場合を除き、全ての医療法人に役員として理事3人以上、監事1人以上をおくことが義務付けられました(医療法第46条の5)。

一方、医療法人の理事又は監事は、その任務を怠った時には当該医療法人に対して、また、その職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、第三者に対して損害を賠償する義務を負います(医療法第47条、第48条)。

そこで、重い損害賠償義務を負う医療法人の理事を確保するため、医療法人の定款を変更し、非理事長理事等の責任を限定するなどの対策が必要となる場合があります。

医療法人の定款変更は、弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士までご相談ください。

開業医・医療法人における
労務問題

看護師等の採用面接の時に
結婚や出産の予定を聞いておきたい

結婚退職や出産により看護師やスタッフに穴が開くと困る……。

そうしたことから、看護師等の採用面接の時に結婚や出産の予定を聞くクリニックもあると思われます。
しかし、こと女性に対してだけそうした質問をすることは、男女雇用機会均等法が禁止する募集・採用時に男女で異なる取り扱いをすることに該当する恐れがあるため注意が必要です。

仕事の能率が悪い、無断欠勤ばかりするなど、問題のある看護師・スタッフに辞めてもらいたい

期間を定めずに雇用している看護師やスタッフをその問題行動等を理由に解雇するにはいくつかの要件が必要となります。
まずは就業規則等に懲戒解雇の規定があり、その問題行動が懲戒解雇の要件に該当する必要があります。
その上で、解雇手続きが適正であること、その解雇に合理的理由があり社会的に相当であること、などの要件を満たしている必要があります。
会社が懲戒解雇できると思っても、解雇した看護師・スタッフから労働組合を通じて懲戒解雇の正当性が争われることもあります。

まずはクリニックの労働問題に詳しい弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士にご相談ください。

残業を命じた看護師やスタッフが
応じない

クリニックが看護師やスタッフに残業を命じるためには、「事業所の労働者の過半数で組織する労働組合」、もしくは「労働者の過半数を代表する者」と36(さぶろく)協定を締結している必要があります。
36協定とは、残業や休日出勤に関する労働基準法36条が規定する労使協定です。
その上で、労働契約や就業規則において「業務上必要がある場合は時間外労働を命じる」などの規定がある場合、はじめて残業を命じることができます。
36協定の締結なしに看護師などの従業員に残業を強制した場合、労働基準法違反として罰金等の罰則が科せられるおそれがあります。

36協定や労働契約・就業規則の整備については、弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士にご相談ください。

忙しい時に看護師やスタッフから
有給取得の申請がなされた

業務が忙しい時期に有給申請がなされるとクリニックの業務に支障が出ます。そこで、その有給取得によってクリニックの業務の正常な運営が妨げられる場合は、クリニックには看護師やスタッフからの有給の申請を拒否する権利(時季(じき)変更権といいます)が認められます。この時季変更権が認められるかどうかは、業務の内容、規模、看護師・スタッフの担当業務、事業活動の繁閑、予定された年休日数、他の社員の休暇との調整等様々な要因を考慮して判断されます。

ご不明な点については弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士にご相談ください。

契約社員として採用した
看護師やスタッフを雇い止めしたい

契約社員であれば簡単に雇い止めができると考えているクリニックは少なくありません。
しかし、雇い止めに関するトラブルを防止するため、厚生労働省から「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」という通達が出されています。
同通達によれば、①契約締結時に契約更新の有無等が明示されていること、②有期契約が3回以上更新されているなどの一定スタッフに対しては雇い止めを予告すること、③雇い止めの予告をした後、スタッフから雇い止めの理由について証明書を求められた場合は応じる必要があること、④契約期間について配慮する必要があること、などが求められています。
したがって、同通達に反する雇い止めは適法ではないと判断される恐れがあります。

契約社員の採用や雇い止めについては弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士にご相談ください。

看護師・スタッフから
残業代を請求された

ある日突然クリニックを辞めた看護師やスタッフから残業代が請求されることがあります。
裁判で残業代が請求されると、労働基準法上の割増賃金と同じ付加金や遅延損害金まで認められることがあります。
残業代は2年前まで遡って請求できるため、残業代の支払いでクリニックの資金繰りが悪化することも考えられます。

残業代に関するトラブルを未然に防ぐクリニックの労働環境の整備については、弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士にご相談ください。

看護師・スタッフに明日から来なくていいといったところ
個人加入の労働組合から
団体交渉を申し込まれた

団体交渉を申し入れた労働組合の組合員の労働条件その他の待遇は義務的団交事項のため、使用者であるクリニックが正当な理由なく団体交渉の要求を拒否すると不当労働行為となります。
また、使用者であるクリニックには、単に団体交渉に対応するだけではなく、誠実に対応することが求められます。
他方でクリニックの院長が団体交渉に対応することは大変なストレスで、クリニックの通常の業務に支障が出かねません。

こうした団体交渉の対応サポートについては、弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士にご相談ください。

看護師やスタッフが他のクリニックに転職したときに
当クリニックのノウハウや営業上の秘密の漏洩を防ぎたい

独自のノウハウや営業上の秘密はまさにクリニックの財産であり、そうした機密情報の漏洩を防ぐことが必要となります。
そこで、クリニックと看護師・スタッフとの間で、採用時などに秘密保持契約書を締結しておくことが必要となります。
秘密保持契約書には、看護師やスタッフが負うべき機密保持義務の内容や、義務違反の際の罰則規定などが規定されるのが一般的です。

秘密保持契約書の作成は、弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士にご相談ください。

診療所・病院に対する「指導」「適時調査」「監査」

 

指導

指導とは、地方厚生局が、保険診療・保険調剤が適切に行われているのかどうかを確認する目的で、保険医療機関等、保険医等に対して行う行政指導です。

健康保険法第73条第1項は、

「保険医療機関及び保険薬局は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣の指導を受けなければならない。」

と規定しています。

指導には、「集団指導」、「集団的個別指導」、「個別指導」があり、診療報酬の自主返納等が問題となるのはもっぱら個別指導です。

なお、関東信越厚生局のホームページには、個別指導における指摘事項が掲載されているため、個別指導でどのようなことが指摘されるのかの参考にすることができます。

 

適時調査

適時調査とは、地方厚生局が、保険医療機関が届け出ている施設基準が充足されているか否かを当該保険医療機関に出向いて確認する調査です。

施設基準とは、一定の人員や設備要件を充足する場合、これを地方厚生局長へ所定の届け出を行うことで、診療報酬算定において通常より高い点数の算定が可能となるものです。

監査

監査とは、個別指導の結果、保険医療機関等の診療内容・診療報酬の請求について、不正や著しい不当が疑われる場合に、地方厚生局が当該保険医療機関等に対して行うものです。

健康保険法第78条第1項には、

「厚生労働大臣は、療養の給付に関して必要があると認めるときは、保険医療機関若しくは保険薬局若しくは保険医療機関若しくは保険薬局の開設者若しくは管理者、保険医、保険薬剤師その他の従業者であった者に対し報告若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、保険医療機関若しくは保険薬局の開設者若しくは管理者、保険医、保険薬剤師その他の従業者に対し出頭を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは保険医療機関若しくは保険薬局について設備若しくは診療録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。」

と規定されています。

監査は、その後の保険医療機関等の取消処分、戒告、注意等の行政処分を行うことを前提に行われます。
したがって、個別指導の際にしっかりと対応し、監査への移行は極力避ける必要があります。

HP・広告関係

クリニックのホームページで
どこまで広告していいのか分からない

クリニックの広告に関する規制については、厚生労働省から医療広告ガイドラインが出され、医療法等の一部を改正する法律により医療に関する広告の見直しが実施されています。
また、厚生労働省では「医業等に係るウェブサイトの監視体制強化事業」が開始され、今後、医療機関のウェブサイトの監視が強化されます。
したがって、クリニックのホームページも医療法やガイドラインに則る必要があります。
うっかり医療広告ガイドライン等に違反する広告をしてしまった場合、クリニックの開設許可取り消し等の行政処分がなされるおそれがあるため、ホームページでの広告内容は慎重に検討しましょう。

具体的なご相談は弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士にお問い合わせください。

会計・税務

MS法人とは何か

MS法人はメディカル・サービス法人の略称であり、MS法人という制度があるわけではありません。
医療行為を行う非営利の医療法人と異なり、MS法人は医療行為に付随するサービスを提供する営利法人です。
したがって、医療法人では成しえない営利事業を行うこともできます。
従来、MS法人は節税目的で利用されるケースが目立ちました。
しかし、単にMS法人を設立したからといって節税ができるわけではなく、かえってランニングコストが増加することもあります。

クリニックに本当にMS法人が必要なのか、迷ったらまずは弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士にご相談ください。


相続問題
─医師の場合─

医師の相続問題の特徴

医師の相続問題には次のような特徴があります。


富裕層が多い

富裕層が多い医師の場合、超過累進税である相続税の負担が過重となります。
現在の日本の相続税は最高税率が55%であり、相続開始後原則として10か月以内に現金一括納付が必要です。
仮に最高税率が2世代にわたって適用された場合、当初100の資産が孫の代には20に目減りしてしまいます(100×0.45×0.45 資産の増減を考慮せず)。
したがって、計画的な相続税対策が求められます。


特定の財産を相続できない相続人が
存在する

第5次医療法改正以前の持ち分のある医療法人(経過措置型医療法人)の持ち分、医師個人で所有する医療機器等は原則として医師が相続(承継)することになります。
子が2人いて長男が医師、長女が専業主婦といったケースでは、医師ではない長女に残せる財産は制約があるため、子の相続分に大きな開きが生じることもあります。
また、子が医師であっても、その専門分野が親と異なる場合も同様の問題が生じます。

医師の相続税対策

相続税は、「相続財産の評価」×「相続財産の量」で求めることになります。
したがって、相続税の負担を低減するには、

①相続財産の評価を引き下げる
②相続財産の量を減らす

ことが中心となります。

①の代表的な対策が不動産の有効活用です。
お金を使って建物を建てると、建物の相続税法上の評価額は固定資産税評価額となります。
新築建物の固定資産税評価額は、建物の構造にもよりますが建築費の5〜7割程度となります。
土地の相続税法上の評価額は、路線価(または倍率方式)となりますが、路線価は公示価格の8割程度です。
したがって、相続税法上評価が低い資産への組み換えなどにより、相続財産の評価を引き下げることができます。

②の代表的な対策が生前贈与です。
生前贈与は暦年課税の場合、受贈者1人につき暦年で110万円の非課税枠しかありません。
したがって、暦年課税による生前贈与はできるだけ早めに取り組む必要があります。
また、暦年課税以外にも教育資金贈与信託など、贈与税の特例を上手に活用することで相続財産の量を減らすことができます。

医師の相続税対策は、税理士資格も有する弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士までご相談ください。

離婚問題
─医師の場合─

医師が離婚するときに注意すること

離婚に関する医師特有の事情には、

①高所得者が多い医師の場合、財産分与や婚姻費用、子がいる場合の養育費が高額になることが多い

②妻をスタッフとして雇用している場合、離婚に際して雇用関係を終了させる必要がある

③夫婦がいずれも医師の場合、双方が医療法人の持ち分を有していると、財産分与の際に持ち分の評価や分け方をめぐって対立が先鋭化する

④法律上の離婚原因(民法770条)がないにもかかわらず、単に一緒に暮らすのが嫌になった等の理由で離婚をしたがるケースが比較的多い

⑤開業する際に、妻(又は夫)の両親から費用を援助してもらった場合、離婚に伴いその援助金の取扱い(贈与か貸付か)が問題となりやすい

⑥妻(又は夫)の実家の医院を継ぐために養子縁組をしている場合、相続問題に発展する

といったことがあげられます。

①の養育費等は子が成人するまで支払い続ける必要があるため、慎重な対応が必要です。
財産分与では、高級自動車や貴金属、ゴルフ会員権などの財産も対象となる場合が多いため、財産分与の対象となる財産は何か、見落とすことがないよう注意しましょう。

②、③では、離婚そのものだけではなく、労働関連の知識や税務の知識が必要となります。

また、④では、そもそも離婚することができるのか、慎重に判断する必要があります。

⑤では、身内からの援助ということで契約書等の証拠がないことが多いため、贈与か貸付かの判断が難しい場合があります。

⑥では、離婚の合意ができたとしても離縁の合意ができない場合、裁判をする必要が生じます。裁判を起こしたとしても簡単に離縁が認められるわけではないため、仮に離縁が認められなければ、妻(又は夫)の両親の相続財産について養子である夫(又は妻)に相続権が発生するおそれがあるため注意が必要です。

日々の診療や医師会の会合など、医師としての仕事だけでも多忙でありながら、従業員の労務問題や離婚、相続といった問題をご自身で適切に対応することはなかなか難しいものです。また、医師という立場上、離婚や相続といった問題が裁判にまで発展することはなるべく避けたいものです。
もし離婚問題で困ったら、お気軽に弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士までご相談ください。

あなたの強い味方となって
お悩みの問題の解決にあたります。

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