労働問題
- 採用面接時に気を付けないといけないことは?
- 労働時間の考え方は?
- 残業について詳しく知りたい
採用、労働時間、賃金など、問題の種類は多く、労働問題も一様ではありません。そのため、幅広い労働問題に関する豊富な知識・経験がなければ、事案に合わせた適切な解決することは困難です。本ページでは、主に経営者側の弁護士としての一例を挙げております。
問題従業員への対応
ダラダラ残業をする従業員への対応は?
ダラダラ残業であることを理由に残業代不払いの対応は事実上困難です。
そこで、次のような対応が考えられます。
- 適正な労務管理を行う
業務時間内の私的メール、私用による離席、居眠り等がみられる場合
→指導・注意を行い、回数や指導・注意内容を記録します。 - 残業の事前申告制・許可制の採用
原則、残業禁止とします。
残業が必要な場合、事前に理由を付記した事前申請書を提出させます。
残業を許可制として、同様の残業許可申請書を提出させます。
協調性のないスタッフへの対応は?
- 事実確認
問題スタッフ、その他スタッフから事情を聴取します - 改善策の検討
問題スタッフを交えて改善策を検討します - 注意・指導
改善されない場合、問題スタッフに注意・指導を行います。この際注意。指導の内容や回数は記録として残します。 - 懲戒処分、普通解雇の検討
①問題スタッフの行動で企業秩序が阻害されている場合
→順次、懲戒処分を行います
②就業規則の解雇事由「職務遂行能力が著しく劣る」に該当する場合
→普通解雇が可能であるか検討し、可能であれば普通解雇します
遅刻・早退・欠勤が多いスタッフへの対応は?
- 事実確認
- 体調不良を理由とする場合は必要に応じて診断書を提出させます
- 葬儀等を理由とする場合は会葬礼状等を確認します
- 特段の理由なく遅刻等を行うスタッフへの対応
- 注意・指導を行います。最初は口頭で行い、改善が見られない場合は文書で注意・指導を行ったうえで回数や注意内容を記録します
- 遅刻等を踏まえた勤務成績の評価を行います
- 懲戒処分、普通解雇の検討
- 問題スタッフの行動で企業秩序が阻害されている場合
→順次、懲戒処分を行います - 就業規則の「業務に怠慢で向上の見込みがない」に該当する場合
→普通解雇が可能であるか検討し、可能であれば普通解雇します
- 問題スタッフの行動で企業秩序が阻害されている場合
退職した従業員から過去の未払残業代等を請求された場合の対応は?
未払残業代等がある場合は未払となっている残業代を支払う必要があります。
但し、残業代等の支払請求権は一定期間行使しないと時効により消滅します。
賃金、労災補償その他の請求権は2年、退職手当の請求権は5年で消滅します(労働基準法115条)。
したがって、上記時効期間を経過した残業代や退職手当については支払う必要がありません。
当日になって突然有給休暇を申請された場合の対応は?
有給休暇の申請については、就業規則等に「取得日の〇日前の終業時刻までの届けるものとする」といった請求期限が規定されているのが通常です。
したがって、当日いきなり電話やメールで有給取得を届け出ても、これは事後申請となり、そのまま従業員が休めば無断欠勤となります。
会社によっては、病気などやむを得ない理由による場合は有給取得を認める場合がありますが、私的な理由での申請は有給への振り替えを認めなくてもかまいません。
とくに当日の朝、メールを一方的に送信して私的な理由で有給申請をするといったケースは悪質であり、懲戒処分の検討も必要となります。
そうした事態が起きないよう、従業員には日ごろから有給取得のルールを徹底しておく必要があります。
突然退職を申し出た従業員への対応は?
従業員が正社員などの期間の定めがない社員の場合、何時でも解約の申入れができます。
但し、雇用契約が終了するのは申し入れをしてから2週間が経過した後です。
有給休暇が使えるなどの事情がなければ、原則として退職届を提出してから2週間は労働契約が継続します。
参考 民法627条1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
身元保証人への損害賠償請求
従業員が会社のお金を横領するなど、会社に損害を与えた場合に、その従業員の身元保証人に損害賠償を請求できるでしょうか。
身元保証人の責任については「身元保証ニ関スル法律」(身元保証法)が規定しています。
身元保証法に拠れば、身元保証人の責任は、期間を定めない場合は3年、期間を定める場合も最長5年とされています。
したがって、上記の期間を経過していると身元保証人への損害賠償の請求はできません。
こうした事態を避けるためには、身元保証契約を更新しておく必要があります。
なお、会社は、
①従業員が業務上不適任または不誠実な行いがあり保証責任が発生するおそれがあることを知ったとき、
②職務や任地の変更で保証責任が加重になり、保証人の監督が困難になるときは、身元保証人に通知する義務があります。
身元保証人は、この通知を受け、また上記①②の事実を直接知った時は、将来に向けて身元保証契約を解除することができます。
また、問題が悪化する前の早い段階から弁護士に依頼し、問題の発生を未然に防ぐことも、企業にとって重要なことと考えます。
もし労働問題でお困りなら、お気軽に弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士までご相談ください。
あなたの強い味方となって
お悩みの問題の解決にあたります。