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現預金
生前贈与を実行する場合、その対象として最も利用されているのが現預金です。
現預金の生前贈与のメリットは移転コストがかからない点です。
また、相続税評価で現預金は額面で評価されるため、額面と相続税評価額に差異が生じません。
一方で、現預金の生前贈与は受贈者の無駄遣いや、受贈者の金銭感覚のマヒといった問題が生じます。
この問題を解決しようと、贈与者が受贈者名義の預貯金を管理すると「名義預金」として将来の相続税の税務調査等で申告漏れとして指摘される恐れが生じます。
不動産
金融資産はさほどないが広大な土地を有している地主等の場合、土地を生前贈与するといったニーズが高くなります。
不動産は持分で贈与できるため、現預金と同様に計画的な生前贈与ができます。
他方で、不動産の生前贈与は移転コストが高くなります。
登録免許税は登記原因が相続の場合、固定資産税評価額の0.4%ですが、贈与の場合は2%となります。
また、不動産取得税は相続の場合は課税されませんが、贈与の場合は固定資産税評価額の4%です。
(2024年3月31日までの措置として、土地と住宅用の家屋の場合は3%に軽減されています。)
さらに司法書士に登記手続きを依頼する場合、その費用も考えておく必要があります。
自社株式(取引相場のない株式)
企業オーナーの親族に後継者がいる場合、その後継者に対して自社株式を生前贈与するニーズが高くなります。
内部留保が大きな会社の場合、相続時に自社株式の相続税評価額が高くなりますが、換金が容易ではないため自社株式にかかる相続税納税資金を別途調達する必要があります。
そこで生前贈与で自社株式を後継者に移しておけば、こうした問題が解決できます。
一方で企業オーナーに後継者以外の指定がいる場合、後継者への自社株式の生前贈与はオーナーの相続時に特別受益として指摘される可能性があります。
(特定の相続人への生前贈与は自社株式に限らず特別受益の問題が生じます)
また、受贈者である後継者が急に会社を継がないと言い出したり、先に亡くなったりすると、それまでに贈与した自社株式を改めて移転する問題が生じます。
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