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遺贈とは、遺言者が遺言によってする財産の無償譲渡です。
遺贈によって財産を譲り受ける者を受遺者といいます。
法定相続人に対しては財産を「相続させる」ことになるため、遺贈によって財産を譲渡する相手は原則として法定相続人以外の者となります。
特定遺贈
特定遺贈とは、受遺者に与えられる目的物や財産的利益が特定されているものです。
例えば、甲にはA不動産を、Bには乙動産を、それぞれ遺贈するといった趣旨のものです。
遺言で特定遺贈がなされていると、遺言の効力発生(遺言者の死亡)と同時に受遺者がその財産を取得することになります。
特定遺贈において、A不動産の持分3分の2を甲に、持分3分の1を乙に遺贈するという内容の遺贈が行われた場合、A不動産にかかる甲と乙の関係は遺産共有ではなく、通常の共有(民法249条以下)となります。
したがって、共有関係を解消するには遺産分割協議ではなく、共有物分割手続(民法256条以下)に拠ることになります。
また場所を指定せずに不動産の一部が遺贈された場合(例 A土地100坪中、50坪を甲に遺贈する。)、A土地について、抽象的な分数的割合で遺贈したものではないことから、特定遺贈にあたるとされています。
ただし、場所の指定がないため、相続開始と同時に土地の所有権が甲に移転することはありません。
この場合、選択権を行使して土地を特定することによって所有権が甲に移転します。
選択権は一次的には相続人が有し、催告をしても選択しない場合は選択権が受遺者に移転します。
(東京高判昭和23年3月26日)
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