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モンスターペイシェントの具体例と対応

 

診療・会計の順番待ちでクレームをつける患者

 

診療や会計を待つ時間が長いとして医師や事務職員にクレームをつける患者がいます。待たされる時間が長時間に及ぶ場合、患者がクレームを付けることも一定程度理解できます。

そうした場合は、順番に治療や会計を行っていること、治療については緊急性の高い患者を優先する場合があることを説明します。

 

また病医院側でも自動支払機を導入するなどして会計の待ち時間を短縮できるように対応する必要があります。

一方で早く診察しろと怒鳴る等、理不尽な要求をする患者については、毅然とした態度でそうした要求にはこたえられないといっても問題はありません。

病医院のこうした対応について、患者がさらに大声を上げる等する可能性があるため、患者の対応には原則として複数のスタッフがあたるようにする必要があります。

 

また、後日患者が、診療拒否があったといった新たなクレームをつけてくる可能性があるため、患者とのやり取りは録音しておく必要があります。

なお、やり取りを録音することに患者の了解は必要ありません。

 

スタッフに対してストーカー行為を行う患者

 

男性患者が女性のスタッフに電話番号やメールのアドレスを尋ねたり、病医院の外でスタッフを待ち伏せしたりすることがあります(女性患者が男性スタッフにこうした行為を行うこともあります)。

 

問題となるのは、スタッフが個人的な連絡先は教えられないと断ったにもかかわらず患者が執拗に電場番号等を尋ねたり、付きまといをやめない場合です。

スタッフ個人では対応が難しい場合、上司や医師から患者に対してつきまとい等を止めるように話してもらいます。

また、可能であれば患者の担当から当該スタッフを外して両者の接触機会を減らすようにします。

 

それでも患者がつきまとい等を止めない場合は警察に通報します。

ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)では、「つきまとい等」をした者に対して、警察が警告を発したり、悪質な場合は逮捕したりすることでストーカーからスタッフを守ってくれます。

 

睡眠薬や向精神薬の過剰な処方を求める患者

 

薬がないと眠れないなどと主張し、睡眠薬等の過剰な処方を求める患者がいます。

担当医に度々処方を求めると断られるため、時には、担当医がいない時間帯を狙って受診し、担当医以外の意思に処方を求めたりすることもあります。

薬剤の過剰な処方は患者の身体へ悪影響を及ぼすほか、生活保護受給者の中には処方された向精神薬等を転売するなどの事例も見られます。

 

医療費が全額公費で賄われる生活保護をめぐり、無料で処方された向精神薬を違法に販売したとして、警察が麻薬取締法違反(営利目的譲渡)容疑で、元生活保護受給者を逮捕した事件等も発生しています。

精神疾患のある患者の場合、難しい対応が迫られますが、医師が明らかに処方の必要性がないと判断した場合は、処方を拒絶しても問題はないと思われます。

 

診療報酬改定においても、一部の精神安定剤及び睡眠障害改善剤について、診療報酬上の投薬期限の上限が30日とされるなどしてきました。

さらに2018年の診療報酬改定では、処方料・処方箋料が減算となる向精神薬多剤処方の範囲が拡大され、多剤処方時の処方料・処方箋料が2点減点となりました。

 

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