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持分あり医療法人の中には、社員の退社に伴う出資持分の払戻しや、医療法人の解散にともなう残余財産分配の範囲について払込出資額を限度とする旨を定款に規定している「出資額限度法人」があります。
出資額限度法人について国税庁は、
「出資額限度法人は、依然として、出資持分の定めを有する医療法人であり、出資者の権利についての制限は将来社員が退社した場合に生じる出資払戻請求権又は医療法人が解散した場合に生じる残余財産分配請求権について払込出資額の範囲に限定することであって、これらの出資払戻請求権等が行使されない限りにおいては、社員の医療法人に対する事実上の権限に影響を及ぼすものとはいえないこと」
「出資額限度法人においては、出資払戻請求権等が定款の定めにより払込出資額に制限されることとなるとしても、定款の後戻り禁止や医療法人の運営に関する特別利益供与の禁止が法令上担保されていないこと」
「他の通常の出資持分の定めのある医療法人との合併により、当該医療法人の出資者となることが可能であること」
といった理由から、その出資額の評価は通常の出資持分のある医療法人と同様であるとしています。
したがって、退社する社員が払戻請求権を行使した場合、当該社員には出資額を払戻せば足りますが、実際の評価額と出資額の差額は、他の社員や医療法人に対するみなし贈与として課税されます。
また、持分を有する社員に相続が発生した場合、その持分についても時価で評価されることになります。
一方で、次のいずれにも該当しない出資額限度法人においては、原則として、他の出資者に対するみなし贈与の課税は生じないものとされています。
ア.当該出資額限度法人に係る出資、社員及び役員が、その親族、使用人など相互に特殊な関係をもつ特定の同族グループによって占められていること
イ.当該出資額限度法人において社員(退社社員を含む)、役員(理事・監事)又はこれらの親族等に対し特別な利益を与えると認められるものであること
上記に該当するかどうかは、当該出資額限度法人の実態に即して個別に判断されます。
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