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患者やその親族(患者等)が、医師の医療行為に不信感を有した場合、診断書等の診療記録を入手しようと考えます。
患者等が診断書等を入手するには、①任意での診断書等の開示を請求する、②裁判所の証拠保全手続を利用する、ことが考えられます。
この任意開示手続と証拠保全手続の違いは以下のとおりです。
取得にかかる費用
〇任意開示手続
診断書等のコピー代やCD-Rなどの実費のほか、医療機関の管理者が開示に要する費用として定める金額(比較的低廉)。
〇証拠保全手続
申立費用など裁判所に納付する費用、弁護士費用、保全した証拠の謄写(コピー)費用、診断書等を撮影するカメラマンの日当等(任意開示手続に比べて高額)。
取得にかかる時間
〇任意開示手続
患者等が病医院に出向き診断書等の開示を請求してから数週間から1カ月程度。
〇証拠保全手続
①弁護士との打合せ、②裁判所への証拠保全の申立て、③裁判所と弁護士の面接、④裁判所・カメラマンとの日程調整、⑤裁判所による保全決定、⑥証拠保全手続の実施、⑦収集した記録の謄写、が必要となるため実際に証拠を入手するには数カ月程度必要。
診断書等の毀棄や改ざんのおそれ
〇任意開示手続
毀棄・改ざんのおそれはある。病医院によっては開示を拒否したり制限される可能性あり。
なお、電子カルテを使用している病医院では、手書きのカルテより改ざんの可能性は低い。
〇証拠開示手続
病医院に証拠保全手続を実施する連絡が入るのは実施する1~2時間前のため、毀棄・改ざんのおそれは低い。
開示資料の信ぴょう性・網羅性
〇任意開示手続
病医院が予め診断書等の選別を行う可能性があるため、信ぴょう性・網羅性がどれだけ担保されているかは病医院による。
〇証拠開示手続
診断書等をほぼ網羅的に取得できるため信ぴょう性・網羅性は確保されている。
不開示とした場合の不利益
〇任意開示手続
病医院に対して、個人情報保護法による勧告や罰則の可能性あり。
〇証拠保全手続
病医院が裁判所の検証物の提示命令に従わない場合、訴訟において患者側の主張自体が真実であると認められる可能性あり。
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