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相続時精算課税の注意点2

 

③贈与財産が滅失しても相続税の課税財産となる

 

民法の規定では、共同相続人中に被相続人から婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、その贈与を受けた財産を特別受益として相続財産に持戻して相続財産をを計算することで、予め贈与を受けていた相続人と、他の相続人との相続分のバランスをとることになっています(民法903条の2)。

 

この特別受益については、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなされることになっています(民法904条)。

 

したがって同条を反対解釈すると、受贈者の故意過失によらないで贈与財産が滅失した場合、滅失した財産は贈与されなかったものとみなされます。

一方、相続税法には民法904条のような規定はないため、贈与財産が滅失毀損した場合、受贈者の故意過失の有無を問わず相続財産に加算されることになります。

 

④贈与財産が値下がりしても贈与時の時価で相続財産に加算される

相続財産については、「相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価」で評価することと規定されています(相続税法22条)。

一方、相続時精算課税を選択した上で贈与した財産については、贈与時の時価で相続財産に加算して相続税を計算することになります。

 

贈与時から相続時までの贈与財産が値下がりしていた場合、その値下がり分について余分に相続税を支払うことになります。

したがって将来値下がりする可能性のある財産を贈与する場合、相続時精算課税を選択すると不利になります。

 

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