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前回に続いてプロベートへの備えとして生前信託とバイパストラストをご紹介します。

 

生前信託の仕組み

 

生前信託では、委託者(Grantor、Trustor、Settlor)が移転する財産、受益者の決定等の信託の決定を行い、受託者に信託財産を移転します。

受託者(Trustee)は、信託契約に基づき、信託財産の管理・運営を行います。

受益者(Beneficiary)は、信託財産から生じる利益を受け取ります。

 

委託者、受託者、受益者のうち、委託者と受益者については、アメリカ市民、アメリカ法人、アメリカ居住者、アメリカ非居住者いずれもなることができます(受益者については人格のない社団もなることができます)。

他方、受託者はアメリカ市民、アメリカ法人、アメリカ居住者はなることができますが、アメリカ非居住者はなることができません。

 

バイパストラスト(ABトラスト)

 

バイパストラストは、保有資産が遺産税(Estate Tax)における控除額(Unified Credit)を超える夫婦において、その負担を軽減するために利用されます。

まず夫婦でABトラストを設定し、夫の固有資産、妻の固有資産、夫婦の共有資産を移転します。

 

例えば先に夫が亡くなった場合、妻が相続しない資産(夫の固有資産、夫婦の共有資産中夫に帰属する資産)をAトラストに移行し、妻が相続する資産をBトラストに移行します。

 

Aトラストによる収益受益権は妻に帰属するように設定されていますが、Aトラストに移行した資産自体は、妻の病気治療といった一定の場合を除いて引き出すことができません。

また、Aトラストは取消不能信託(Irrevocable Trust)として設定されます。

 

次に妻がなくなると、Bトラストの資産は、Aトラストの資産と共に最終受益者(子どもなど)に移転します。

この時、Bトラストの資産は遺産税の対象となりますが、Aトラストの資産は遺産税の対象とはなりません。

Aトラストの資産については、収益受益権を除いて、妻は生前に利用することができなかったためです。

 

このように、Aトラストの資産は2次相続の時に遺産税を回避できるのでバイパストラスト(Bypass Trust)と呼ばれているのです。

アメリカではこのほかにも、非居住者である生存配偶者が、遺産税の支払いを自分が亡くなるまで繰り延べるために利用される税制適格内国信託(QDOT qualified Domestic Trust)や、慈善団体への寄付を通じて所得税や遺産税の負担を軽減するために利用される慈善信託(Charitable Trust)などが利用されています。

 

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