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診療中の患者やその家族から、診療記録を開示して欲しいと請求されることがあります。

こうした場合、患者やその家族が、医師やその診療内容に不信感をいただいていることが少なくありません。

請求を受けた医師や医療法人は、原則として請求に応じて診療記録を開示することになりますが、時に開示をしてはいけない相手に開示することで更なる紛争に発展することがあります。

そのような場合に、誰に診療記録を開示すればいいのかについては、厚生労働省が策定した「診療情報の提供等に関する指針」が参考になります。

 

診療情報の提供等に関する指針(抄)

 

診療記録の開示に関する原則

 

医療従事者等は、患者等が患者の診療記録の開示を求めた場合には、原則としてこれに応じなければならない。

診療記録の開示の際、患者等が補足的な説明を求めたときは、医療従事者等は、できる限り速やかにこれに応じなければならない。この場合にあっては、担当の医師等が説明を行うことが望ましい。

 

診療記録の開示を求め得る者

 

診療記録の開示を求め得る者は、原則として患者本人とするが、次に掲げる場合には、患者本人以外の者が患者に代わって開示を求めることができるものとする。

 

  1. 患者に法定代理人がいる場合には、法定代理人。ただし、満15歳以上の未成年者については、疾病の内容によっては患者本人のみの請求を認めることができる。
  2. 診療契約に関する代理権が付与されている任意後見人
  3. 患者本人から代理権を与えられた親族及びこれに準ずる者
  4. 患者が成人で判断能力に疑義がある場合は、現実に患者の世話をしている親族及びこれに準ずる者

 

診療情報の提供を拒み得る場合

 

医療従事者等は、診療情報の提供が次に掲げる事由に該当する場合には、診療情報の提供の全部又は一部を提供しないことができる。

 

  1. 診療情報の提供が、第三者の利益を害するおそれがあるとき
  2. 診療情報の提供が、患者本人の心身の状況を著しく損なうおそれがあるとき

 

1に該当することが想定され得る事例

患者の状況等について、家族や患者の関係者が医療従事者に情報提供を行っている場合に、これらの者の同意を得ずに患者自身に当該情報を提供することにより、患者と家族や患者の関係者との人間関係が悪化するなど、これらの者の利益を害するおそれがある場合

2に該当することが想定され得る事例

症状や予後、治療経過等について患者に対して十分な説明をしたとしても、患者本人に重大な心理的影響を与え、その後の治療効果等に悪影響を及ぼす場合

 

個々の事例への適用については個別具体的に慎重に判断することが必要である。

医療従事者等は、診療記録の開示の申立ての全部又は一部を拒む場合には、原則として、申立人に対して文書によりその理由を示さなければならない。

また、苦情処理の体制についても併せて説明しなければならない。

 

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