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相続人が行方不明の場合
相続人が行方不明の場合、他の相続人だけで遺産分割を行うことはできません。
他の相続人だけで遺産分割を行っても、被相続人の預金を引出したり、不動産を相続することはできません。
相続手続の際、被相続人の出生から死亡までの戸籍を取り寄せます。
この戸籍によって相続人を確定するため、戸籍を調べれば相続人が誰であるか、遺産分割協議に参加していない相続人がいるのかが分かります。
因みに、他の相続人が勝手に行方不明の相続人の名前を遺産分割協議書に書いたり、押印したりすると私文書偽造罪(刑法159条)になります。
失踪宣告
相続人の生死が7年間明らかでない場合は、利害関係人である他の相続人は、家庭裁判所に対して失踪宣告の申立をすることができます(普通失踪 民法30条1項)。
戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者については、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときについても、他の相続人は、家庭裁判所に対して失踪宣告の申立ができます(特別失踪 民法30条2項)。
家庭裁判所によって失踪宣告がなされると、普通失踪では7年を経過した時点で、特別失踪では危難が去った時に、行方不明の相続人は死亡したものとみなされます(民法31条)。
なお、家庭裁判所が失踪宣告の審判をするには、普通失踪で3か月以上、特別失踪では1か月以上の公告期間を設ける必要があります。
失踪宣告がなされた場合、行方不明の相続人に代襲相続人がいれば他の相続人は代襲相続人と遺産分割協議を行い、代襲相続人がいなければ他の相続人だけで遺産分割協議を行います。
不在者財産管理人の選任
失踪宣告ができない場合で、行方不明の相続人が財産管理人を置いていないときには、、利害関係人である他の相続人は、家庭裁判所に対して、不在者の財産管理についての管理人の選任申立をすることができます(民法25条1項)。
不在者の財産管理人が選任されると、他の相続人は不在者の財産管理人と遺産分割協議を行うことになります。
不在者の財産管理人ができるのは、保存行為と、物又は権利の性質を変えない範囲内での利用又は改良を目的とする行為に限られます(民法28条、103条)。
遺産分割協議は、保存、利用、改良行為にあたらないため、財産管理人が遺産分割協議を成立させるには家庭裁判所の許可を得る必要があります。
具体的には、財産管理人が遺産分割協議書を審判申立書に添付して、許可の申立をします。
家庭裁判所は、不在者が法定相続分を取得していることを許可の条件としているようです。
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