ブログ

今回の民法改正により、自筆証書遺言の作成にあっては財産目録を自書する必要がなくなり、パソコン等を使用することができるようになりました。

資産家の場合、財産目録が大部になることから、これを自書することは大変な負担でしたが、今回の改正で自書の負担が大幅に軽減されました。

 

また自筆証書遺言を遺言保管所に保管することができるようになったため、遺言の紛失、盗難、隠匿等の問題も解決されることになりました。

なお、遺言保管所に保管した自筆証書遺言は、検認手続が不要とされています。

 

このように今後利用が拡大しそうな自筆証書遺言ですが、作成時に注意することが何点かあります。

 

1財産目録以外は自書が必要

既に紹介したとおり、今回の民法改正で遺言者の自書が不要となったのは財産目録部分です。

財産目録以外の部分をパソコン等を利用して作成すると無効になるため注意が必要です。

 

2日付を書く

同一遺言者の複数の遺言が存在する場合、抵触する部分については後の遺言の文言が優先するため、遺言には日付を書く必要があります。

民法1023条1項

前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

また、遺言に日付が入ることによって、その当時遺言者が遺言を作成できる状況になったのか等を判断することもできます。

 

3遺言は一人づつ作成する

遺言は一度作成したら終わりではなく、遺言作成者の考えや状況が変わった時に遺言を書き直したり、撤回できる必要があります。

夫婦などが同じ書面で遺言を作成すると、この書直しや撤回が自由にできなくなります。

そこで共同遺言は禁止されています(民法975条)。

 

4押印は実印を用いる

自筆証書遺言は、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」と規定されており、印については特に制限がありません(民法968条1項)。

しかし、遺言者本人が作成したことを明らかにするため、認印ではなく実印を押印するようにします。

なお、「花押(かおう=サインのこと)」が印の代わりになるのか争われた裁判で、最高裁判所は花押は印として認められないと判断しています(最判平成28年6月3日)。

 

その他の相続に関する解説は

👉相続・遺言・遺産分割

オールワンへの
お問い合わせ・ご相談予約