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相続税対策における生前贈与の有効性

 

相続税は、「個々の相続財産の評価額」に「相続財産の量」を乗じて求めるため、相続税の負担を軽減するポイントは、「評価を下げる」、「量を減らす」ことにあります。

 

このうち、「評価を下げる」対策には、現金を不動産にする、アパートやマンションを建てる等があります。

しかし、相続財産の評価を決めるは国であり、相続財産の評価は相続開始時の基準が用いられるため、将来の税制改正を見越した対策をとることは困難です。

 

一方、「量を減らす」対策である生前贈与は、暦年課税の場合、毎年毎年対策が完結するため、将来の税制改正の影響は受けません。

したがって、できるだけ長期にわたり生前贈与を行うことが相続税対策の基本となります。

 

名義預金の問題

 

生前贈与を行うにあたり、受贈者の無駄遣いを心配して自分が管理する家族名義の銀行口座で預金を管理する方がいます。

こうした預金は「名義預金」と呼ばれており、いくら家族名義の口座に預金を移しても贈与をしたことにはなりません。

 

国税庁に拠れば、平成30事務年度の相続税の調査における非違割合(実地調査件数に占める申告漏れ等の非違件数)は85.7%にのぼります。

財産別では、現金・預貯金等が1,268億円と、有価証券や不動産を大きく上回っていますが、この預貯金等の中に名義預金が多数含まれているといわれています。

 

生前贈与における生命保険の活用

 

親が生命保険料相当の現金を子(又は孫 以下同じ。)に贈与し、子が契約者及び保険金受取人、親が被保険者の生命保険契約を締結します。

相続開始時には子は生命保険金を受け取ることができ、相続税の納税資金を準備することができます。

 

また上記契約形態の生命保険金は、相続税の課税対象とならず、受取人の所得(一時所得)となるため、生命保険金によって相続税の課税財産が増加することを防げます。

一時所得は、受取保険金から払い込んだ保険料を控除し、さらに特別控除(50万円)した金額の2分の1で計算するため、相続税が課税される場合と比べて一般的に税負担は軽減されます。

 

なにより、贈与資金が保険料に使われるためお金の無駄遣いの心配がありません。

贈与資金を保険料として使ったのであれば、税務調査でも資金の使途がしっかり説明できます。

 

このように生命保険を上手く組み合わせることで、無駄遣い等の問題を解決しながら生前贈与を実行することができます。

 

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