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前回に引き続き相続における生命保険の活用法をご紹介します。
寄与分・特別寄与料の代わりに保険金を残すことができる
相続人の中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護等によって被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者がいる場合、当該相続人は寄与分という形で他の相続人より多くの財産を相続できることになっています。
(民法904条の2)
今回の相続法改正では、この寄与分の対象者が、相続人から被相続人の親族に拡大されました。
(民法1050条)
しかし、実際の遺産分割協議では、寄与分を巡って相続人間が対立することがあります。
そこで、介護等で貢献のある子などがいる場合、その子を生命保険金の受取人にしておけば、相続財産とは別に保険金を残すことができます。
共有で保険金を残すことができる
一般的に相続財産としての不動産を相続人同士で共有することは、問題の先送りであり、将来において争族となってしまう可能性があります。
生命保険の場合、一つの保険契約で複数の受取人を指定することができますが、保険金請求権は単なる金銭債権であり、複数の相続人を受取人に指定しても不動産のような問題は起こりません。
また、保険金の請求は各受取人が単独で行えるため、受取についても問題は起こりません。
契約者の意思で受取人を自由に変更できる
遺言を作成しておけば、どの財産を誰に残すのか自由に決めることができます。
ただ、遺言の作成は要式行為であり、一定のルールに従って作成する必要があるため、何度も遺言を書き替えることは負担となります。
また、公正証書遺言の場合はその都度公証人の手数料も必要となります。
しかし生命保険の受取人の変更は契約者が自由に行えるため、状況や考えが変わる都度、受取人を変更して対応することができます。
保険金の受取りを秘密にできる
契約者・被保険者が被相続人、受取人が相続人の生命保険契約の場合、相続税の申告等で誰がいくらの保険金を受け取ったのか、受取人以外の相続人に分かってしまいます。
他方、契約者・受取人が相続人、被保険者が被相続人の生命保険契約の場合、保険金は受取人の一時所得として課税されるため(相続税が課税されないため)保険金を受け取ったことを秘密にできます。
保険金を相続税の課税から除外できる
すでに述べたとおり、契約者・受取人が相続人、被保険者が被相続人の生命保険契約の場合、保険金は受取人の一時所得として課税されるため、相続税の課税から除外できます。
このように、生命保険は少し工夫するだけで相続税対策、遺産分割対策に役立てることができます。
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