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相続と生命保険金

 

これまでご紹介してきたように、契約者・被保険者が被相続人、受取人が相続人となる生命保険契約において保険事故が発生すると、受取人は固有の財産としての生命保険金を受領します。

上記保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象になる一方、一定の範囲で非課税財産として取り扱われることになります(相続税法12条)。

 

一方で、契約者が被相続人、被保険者が被相続人以外の生命保険契約の場合、相続が発生しても保険金が支払われないため、相続人が生命保険契約の存在に気付かず、生命保険契約が相続財産から漏れてしまうことがあります。

(この場合、生命保険契約の解約返戻金相当額が相続税の課税対象となります。)

 

このような場合に税務署は生命保険契約をどのようにして調べるのでしょうか。

 

支払調書

 

生命保険会社は、生命保険金等を支払った場合、支払事由ごとに決めらられた法定調書(支払調書及び合計票)を提出することが義務付けられています。

したがって、税務署は上記支払調書によって生命保険契約の存在を把握することができます。

 

(生命保険契約等の一時金の支払調書)

生命保険契約等から一時期の支払があったときに、支払った日の属する年の翌年1月31日までに、納税地の所轄税務署長に提出されます。

支払調書の提出が求められるのは、1回の支払金額が100万円を超えるものです。

 

(生命保険契約等の年金の支払調書)

生命保険契約等から年金の支払があったときに、支払った日の属する年の翌年1月31日までに、納税地の所轄税務署長に提出されます。

支払調書の提出が求められるのは、同一人に対する年中年金の支出金額が20万円を超えるものです。

 

(生命保険金・共済金受取人別支払調書)

その月中に生命保険金や共済金を支払ったときに、支払った日の属する月の翌月15日までに、納税地の所轄税務署長に提出されます。

支払調書の提出が求められるのは、保険金額が100万円を超えるものです。

 

法定調書

 

2015年(平成27年)の改正以前は、保険契約者が死亡し、生命保険契約が相続人等に引き継がれても、保険金の支払事由が生じていないため調書が提出されず、上記生命保険契約者の変更を税務署が把握することは困難でした。

そこで法改正が行われ、生命保険契約又は損害保険契約の契約者が死亡したことに伴い、これらの契約の契約者変更が行われた場合は、その変更の効力が生じた日の属する年の翌年1月31日までに、一定の事項を記載した調書を、その調書を作成した営業所との所在地の税務署長に提出しなければならないとされました。

 

この法改正によって、保険契約者が死亡し、当該保険契約を相続人が引き継いだ場合、こうした事実を税務署が把握できることになりました。

 

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