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剰余金の配当禁止
医療法54条は、「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。」として、医療法人における剰余金の配当を禁止しています。
医療法人において剰余金の配当が禁止されるのは、医療法人が営利を目的としていないためです。
医療法人が獲得した利益を剰余金として社員等に配当できるとすれば、不必要な医療サービスを提供することで多額の利益を計上して、その利益を配当に充てるといった危険性が生じます。
したがって医療法人で利益が生じた場合は、施設の整備・改善に充てるほか、その余の利益については積立金として留保することになります。
もっとも、厚労省が公表しているモデル定款(社団医療法人定款例)によると、医療法人が解散した場合の残余財産については、① 国、②地方公共団体、③医療法第 31 条に定める公的医療機関の開設者、④都道府県医師会又は郡市区医師会(一般社団法人又は一般財団法人に限る。)、⑤財団たる医療法人又は社団たる医療法人であって持分の定めのないもの、のいずれかに帰属させる必要があります。
(但し、2007年(平成19年)3月以前に設立された医療法人は除きます。)
したがって、実際には医療法人で生じた利益は配当ではなく、理事等の役員の報酬として払い出すことになりますが、次にご紹介するように青天井で役員報酬を上げることはできません。
配当とみなされる行為
形式的には剰余金の配当にあたらないものであっても、次のような行為は実質的に剰余金の配当とみなされるおそれがあるため注意が必要です。
〇役員の地位のみに基づいて高額は報酬を支払うこと
〇医療法人の関係者が役員を務めるMS法人に通常よりも高い対価を支払うこと
〇その他役員への不当な利益の供与
これらの行為が実質的な剰余金の配当であるとみなされると、医療法人の理事、監事には20万円以上の過料に処せられます(医療法93条7号)。
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