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保健所や地方厚生局が主体となって、病医院の診療等の調査を行う方法には、立入検査、随時調査、指導、監査があります。

名前が似ていてややこしいのですが、中身はずい分と異なります。

 

立入検査

 

立入検査とは、医療法25条1項に基づき、保険所等医療機関に対して行う調査のことです。

具体的な調査内容には、医療従事者の人員等、病医院の衛生状態、診療録を含む書類・帳票類の確認、業務委託の内容及び委託先の確認、防火防災体制の確認、放射線管理の確認等があります。

 

病院では原則として年1回立入検査が実施されていいますが、診療所ではタレコミ等がない限り概ね5年に1回の程度で実施されています。

なお、立入検査によっては診療報酬の自主返納を求められること等はありません。

 

随時調査

 

随時調査とは、地方厚生局が、保険医療機関が届出どおりの人員配置や施設基準を満たしているかを調査するものです。

 

指導

 

指導とは、地方厚生局が、医療機関において保険診療が適切に行われているのかを確認するために実施される行政指導のことです。

指導には、集団指導、集団的個別指導、個別指導があります。

個別指導のうち、厚生労働省・地方厚生(支)局・都道府県が共同して行うものを共同指導といい、特に大学附属病院、臨床研修病院等を対象として行うものを特定共同指導といいます。

 

集団指導とは、大きな会場において講習会形式で行われるもので、保険医療機関の新規指定および指定更新にあたっての講習会や、診療報酬改定時に厚生局と医師会が共同で開催する「点数説明会」などです。

講習会が終わればそこで完結し、その後の措置や処分といったものはありません。

 

集団的個別指導は、講習会形式の集団部分と、個々の医療機関毎の面接形式の個別部分から実施される形式のものです。

講習会形式で実施されますが、その後に改善報告書の提出や自主返還といったものはありません。

 

個別指導は、新規指定を対象にするものと、既指定を対象とするものに分けられます。

問題となるのは既指定を対象として実施される個別指導です。

 

個別指導として選定される理由には、

①情報提供(被保険者や審査支払機関等から診療内容・診療報酬の請求に関する情報提供があり、厚生局が必要と認めた医療機関)

②再指導(前回の個別指導・新規指導の結果が再指導になった医療機関)

③高点数(前々年度に集団的個別指導を受け、前年度も高点数である医療機関)

④その他(監査の結果、戒告・注意となった医療機関や、正当な理由なく集団的個別指導を拒否した医療機関)

があります。

 

監査

 

個別指導の結果などにより、保険診療の内容又は診療報酬の請求について、架空・付増請求等の「不正」や「著しい不当」が疑われる場合に、保険医療機関の指定の取消など行政上の措置を前提に行われるものです。

監査が行われる前には、レセプトによる書面調査や患者等に対する実地調査(患者調査)が行われ、それらの調査に基づいて監査が実施され、終了後に行政上の措置(取消処分、戒告、注意)を採るかどうかが決められます。

 

不正請求には次のようなものがあります。

①架空請求(実際に診療を行っていない者につき診療をしたごとく請求すること。診療が継続して いる者 であっても当該 診療月 に診療行為がな いにもかかわらず請求を行った場合、当該診療月分については架空請求となります。)

② 付増請求(診療行為の回数(日数)、数量、内容等を実際に行ったものより多く請求すること。)

③ 振替請求( 実際に行った診療内容を保険点数の高い他の診療内容に振替えて請求すること。)

④ 二重請求(自費診療を行って患者から費用を受領しているにもかかわらず、保険でも診療報酬を請求すること。)

⑤ その他の請求(医師数、看護師数等が医療法の標準数を満たしていないにもかかわらず、入院基
本料を減額せずに請求した場合など。)

 

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