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前回のブログに続いて、医師の応招義務の例外を定める医師法19条1項の「正当な事由」の具体的検討です。

 

病室の満床

 

医療法施行規則10条は、「病院、診療所又は助産所の管理者は、患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させるに当たり、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。」として、その1号で「病室又は妊婦、産婦若しくはじよく婦を入所させる室には定員を超えて患者、妊婦、産婦又はじよく婦を入院させ、又は入所させないこと。」と規定しています。

もっとも、同条本文但書は、「臨時応急のため入院させ、又は入所させるときは、この限りでない。」と規定されています。

したがって、満床は直ちに「正当な事由」とはなりません。

 

他方で、患者の症状が安定しており「臨時応急のための入院」といった事情がなければ「正当の事由」があると考えられます。

 

患者の医業報酬の不払

 

厚生省医局長通知(昭和24年9月10日医発752号)によれば、「医業報酬が不払であっても直ちにこれを理由として診療を拒むことはできない。」とされているため、医業報酬の未払いが直ちに「正当の事由」となることはありません。

もっとも上記通知には「直ちに」という文言があるため、病医院が何度も督促をしても患者が医業報酬を支払わず、未払の医業報酬の額が多額にぼるといった事情があれば「正当の事由」にあたりうると考えられます。

 

この問題については、医療機関の未収金問題に関する検討会で医療者から解釈の見直しといった意見が出されましたが、報告書によれば、厚生労働省から「医療費の不払があっても直ちにこれを理由として診療を拒むことはできないとという見解が示された。」として、従来の見解が維持されています。

 

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