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前回に続いて相続時精算課税の注意点をご紹介します。
贈与財産が値下がりしても贈与時の時価で相続財産に加算される
相続財産については、「相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価」で評価することと規定されています(相続税法22条)。
一方、相続時精算課税を選択した上で贈与した財産については、贈与時の時価で相続財産に加算して相続税を計算することになります。
贈与時から相続時までの贈与財産が値下がりしていた場合、その値下がり分について余分に相続税を支払うことになります。
したがって将来値下がりする可能性のある財産を贈与する場合、相続時精算課税を選択すると不利になります。
受贈者が先に死亡すると相続税が加重となる
受贈者が先に死亡した場合、受贈者の相続人(包括受遺者を含む)は、受贈者が有していた相続時精算課税の適用を受けていたことに伴う権利義務を承継します。
そして、その後に贈与者が死亡すると、受贈者の相続人は、受贈者を受遺者とみなし、贈与財産を贈与者の遺贈財産とみなして計算した相続税額から既に支払った贈与税額を控除した相続税額を納付することになります。
その結果、相続時精算課税を選択した場合に受贈者が先に亡くなると、贈与された財産が持ち戻されるため二重課税となり、通常よりも多額の税金を支払うことになります。
まとめ
以上のとおり相続時精算課税を選択すると、
〇暦年課税の戻れない
〇贈与財産が滅失しても相続財産に加算される
〇贈与財産が値下がりしても贈与時の時価で相続財産に加算される
〇受贈者が先に亡くなると相続税が過重になる
といった注意点があります。
もっとも、贈与財産が滅失するか否か、値下がりするか否か、受贈者が先に亡くなるか否か、を事前に判断することは困難です。
したがって、相続時精算課税は、収益を生み出す不動産や値上がり確実な財産を贈与するときのような限られた条件を満たした場合に選択することになると思われます。
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