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相続時精算課税

 

相続時精算課税とは、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる2,500万円(特別控除額)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて贈与税額を算出する課税制度のことです。

適用対象贈与者は、2015年1月1日以降、贈与者は60歳以上の父母又は祖父母、受贈者は20歳以上の子である推定相続人又は孫です。

なお、受贈者の要件については、2022年4月1日以後は18歳以上の子となります。

 

将来贈与者が亡くなると、相続時精算課税適用財産の価額(贈与時の時価)と、相続又は遺贈で受取った財産の価額の合計額を基に計算した相続税額から、既に支払った相続時精算課税適用財産に係る贈与税相当額を控除して、納付すべき相続税額を算出します。

 

相続時精算課税は、受贈者がそれぞれ贈与者を選択することができます。

したがって、父から贈与については相続税精算課税を選択し、母からの贈与については暦年課税を選択するといったことができます。

 

相続時精算課税の注意点

 

暦年課税に戻ることができない

 

相続時選択課税を一旦選択すると、暦年課税に戻ることはできなくなります。

その結果、暦年課税であれば暦年で110万円認められた贈与税の基礎控除が適用されなくなります。

暦年課税では、被相続人の相続開始前3年超の贈与については生前贈与加算がされませんが、相続時精算課税では贈与された時期に関係なく相続財産に加算されることになります。

 

また暦年課税では贈与者・受贈者に特段の条件はありませんが、相続時精算課税では贈与者は60歳以上等の条件が設けられています。

さらに暦年課税では2015年以降、特例贈与として直系卑属である20歳以上の受贈者に年410万円を超えて贈与する場合に軽減税率が適用されることとなりましたが、相続時精算課税ではこうした軽減税率は認められていません。

 

贈与財産が滅失しても相続税の課税財産となる

 

民法の規定では、共同相続人中に被相続人から婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、その贈与を受けた財産を特別受益として相続財産に持戻して相続財産をを計算することで、予め贈与を受けていた相続人と、他の相続人との相続分のバランスをとることになっています(民法903条の2)。

 

この特別受益については、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなされることになっています(民法904条)。

したがって同条を反対解釈すると、受贈者の故意過失によらないで贈与財産が滅失した場合、滅失した財産は贈与されなかったものとみなされます。

 

一方、相続税法には民法904条のような規定はないため、贈与財産が滅失毀損した場合、受贈者の故意過失の有無を問わず相続財産に加算されることになります。

 

次回のブログへ続く

 

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