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診療契約

 

診療契約とは、病医院(医療法人)又は医師と患者の間に成立する診療関係に関する法的な合意のことです。

患者が診療を求め、病医院又は医師がこれを受諾して診療を開始することで診療契約が成立します。

 

病医院や医師が負う診療債務については、その内容が結果債務なのか、手段債務なのかが問題となります。

結果債務と解すると、治療や手術の成功といった「結果」を出すことが病医院や医師に求められます。

他方、手段債務と解すると、その時点の医学的知見に基づき最善を尽くすことが病医院や医師に求められることになります。

 

この点について裁判例では、

「医療契約に基づく診療債務については、これを手段債務と解するべきであるから、まず、治療の手段ないしその前提としての診断については、医師として事態に即応した検査ないし問診等を実施して確診のための努力を重ねることが義務付けられており、その検査方法の採否、収集されたデーターによる診断についても、それが、診療時において一般に是認された医学上の原則に準拠したものであり、かつ、症状発現の程度と認識の手段との相関においてそれが合理的と認められる場合、ついで、療法についても、かかる診断に基づき、適応の肯定できるとみられる薬剤等による治療方法を施すことで足り、治癒の結果の招来それ自体は債務の目的をなさず、むしろ、患者の症状に応じた対症療法を講じ、さらには、具体的療法の実施に代え、安静等の処置をとって、症状の拡大を防ぎながら、経過を観察する等した場合であっても、かかる措置が、医学・医療水準上相当と認められる場合には、医師の診療について帰責事由がないと解するのが相当である」

として、手段債務であると判示しています。

(昭和52年4月27日札幌地裁判決)

 

診療契約と応招義務

 

一般的に契約は、その締結の自由が認められています。

民法521条1項は、

「何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。」

として、契約締結の自由を規定してます。

 

他方、医師の診療契約においては、契約締結の自由は認められていません。

医師法19条1項は、

「診療に従事する医師は、診療治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」

として、民法522条1項の「法令に特別の定めがある場合」を規定しています。

この医師法が定める医師の義務を「応招義務」といいます。

 

どのような事情が「正当な事由」にあたるのかについては、次回のブログでご紹介したいと思います。

 

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