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教育資金贈与信託

 

教育資金贈与信託とは、30歳未満の受贈者の教育資金に充てるため、その直系尊属が金銭等を拠出して信託銀行等に信託等した場合、当該金銭について受贈者1人につき最高1,500万円(学校等以外の者(習い事など)に支払われる金銭については300万円が限度)までの金銭に相当する部分について、2021年3月31日までに拠出される金銭には贈与税が課税されないというものです。

 

受贈者1人について1500万円もの教育資金を無税で贈与することができ、かつ贈与者が亡くなった時点で信託した金銭が残されていても生前贈与加算の対象にならないことから、贈与者の相続税対策になると言われている制度です。

 

なお、受贈者が30歳になった時点で信託した金銭が残っている場合、その残額に暦年課税による贈与税が課税されます。

 

扶養義務者による教育費の負担

 

子や孫の教育費を直系尊属が負担した場合、当該教育費に贈与税が課税されるのでしょうか。

民法877条1項は「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と規定しています。

 

さらに国税庁は、贈与税に関するタックスアンサーにおいて次のような見解を公表しています。

 

夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。

なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。

したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。

国税庁 NO4405 贈与税がかからない場合

 

子の親の扶養義務が祖父母の扶養義務に優先するのか

 

子の親の扶養義務が祖父父母の扶養義務に優先すると考えた場合、親が教育費を負担できるにもかかわらず祖父母がこれを負担しても扶養義務としての教育費の負担には該当しないとも考えられます。

 

扶養義務の順位を定めた民法878条は、

「扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。

扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養を受けるべき者の順序についても、同様とする。」

と規定しており、親の扶養義務が祖父母のそれに優先するとは書かれていません。

 

したがって、親がいる場合に祖父母が孫の教育費を負担しても扶養義務の履行として贈与税の課税の対象にはならないと考えられます。

 

その他の相続に関する規定は

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