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開業医や医療法人の理事長に複数の子弟がいる場合も、病医院を承継できるのはその中の一人であることが大半です。

病医院を承継するためには原則として医師の資格が必要なため、そもそも医師の資格を有していない子弟には病院を承継することができません。

そうした場合に、MS法人を利用した承継が活用できます。

 

MS法人による病医院の不動産所有

 

開業医の先生や医療法人が有している病医院の土地・建物を簿価でMS法人に売却します。

MS法人は通常の法人のため、その代表者に病医院を承継する子弟以外の者が就任します。

 

MS法人は取得した土地・建物を病医院の賃貸し、病医院から賃料収入を得るようにします。

MS法人は病医院から得る賃料収入を原資として、不動産取得資金の返済や代表者の報酬を捻出するようにします。

 

このようにMS法人を活用すれば、病医院の収入を子弟間で分割することができます。

 

MS法人への業務委託

 

病医院の事務、清掃、建物管理等の業務の一部をMS法人に委託し、病医院からMS法人に委託手数料を支払うようにします。

MS法人が病医院の不動産を取得するスキームと異なり、不動産買取のための資金準備が必要ありません。

 

注意が必要なのは、病医院等の清掃をMS法人に委託する場合、医療法によって委託先に制限がある点です。

 

医療法15条の3第2項

病院、診療所又は助産所の管理者は、前項に定めるもののほか、病院、診療所又は助産所の業務のうち、医師若しくは歯科医師の診療若しくは助産師の業務又は患者、妊婦、産婦若しくはじよく婦の入院若しくは入所に著しい影響を与えるものとして政令で定めるものを委託しようとするときは、当該病院、診療所又は助産所の業務の種類に応じ、当該業務を適正に行う能力のある者として厚生労働省令で定める基準に適合するものに委託しなければならない。

 

医療法施行令4条の7

法第15条の3第2項に規定する政令で定める業務は、次のとおりとする。

1 医療機器又は医学的処置若しくは手術の用に供する衣類その他の繊維製品の滅菌又は消毒の業務

2 病院における患者、妊婦、産婦又はじよく婦の食事の提供の業務

3 患者、妊婦、産婦又はじよく婦の病院、診療所又は助産所相互間の搬送の業務及びその他の搬送の業務で重篤な患者について医師又は歯科医師を同乗させて行うもの

4 厚生労働省令で定める医療機器の保守点検の業務

5 医療の用に供するガスの供給設備の保守点検の業務(高圧ガス保安法の規定により高圧ガスを製造又は消費する者が自ら行わなければならないものを除く。)

6 患者、妊婦、産婦若しくはじよく婦の寝具又はこれらの者に貸与する衣類の洗濯の業務

7 医師若しくは歯科医師の診療若しくは助産師の業務の用に供する施設又は患者の入院の用に供する施設の清掃の業務

 

また、医療機器の賃貸についても医薬品医療機器等法に規制があるため注意が必要です。

 

その他の開業医・医療法人に関する解説は

👉開業医・医療法人

 

 

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