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持分あり医療法人

 

2007年(平成19年)4月1日に施行された第5次改正医療法以前に設立された医療法人社団の中で、定款の規定に医療法人が解散した場合や社員が退社した場合に出資の払戻しに関する規定がある社団を「持分あり医療法人」といいます。

第5次医療法施行以後は持分あり医療法人の設立はできなくなりましたが、それ以前の持分あり医療法人については「当面の間」、「経過措置型医療法人」として存続が認められることになりました。

 

医療法人は医療法によって配当が禁じられていることもあり、業績が良い医療法人では長年に渡って内部留保が蓄積された結果、持分の評価額が高額になっていることがあります。

こうした医療法人で社員が死亡すると、持分を相続した相続人に多額の相続税が課税されるといった問題が生じます。

また、社員が退社した際に持分の払戻し請求権を行使されると、多額の現金が医療法人から流失するといった問題も生じます。

 

認定医療法人制度

 

こうした問題に対処し、安定的に医療サービスの提供を続けるため、厚生労働省は2014年(平成26年)10月より、個人の相続税や贈与税の納税を猶予する「持分なし医療法人への移行計画の認定制度」をスタートさせました。

しかし、当初の制度では理事会の構成員中における同族の理事の数を制限する規定が設けられていたり、社員が持分を放棄した際の医療法人に対するみなし贈与の課税が従来通りだったこともあり、あまり活用が進みませんでした。

 

そこで厚生労働省は改めて2017年(平成29年)10月より「持分の定めのない医療法人への移行に関する計画の認定制度」(認定医療法人制度)をスタートさせました。

認定を受けた医療法人については、出資者が持分を放棄したことで医療法人が受けた経済的利益について、みなし贈与税が課税されないことになります。

さらには、社員に同族要件がないため、一族で医療法人を維持・支配してくことが可能となりました。

 

一方、理事の報酬については「不当に高額なものとならないような支給基準を定めること」といった規定があるため、理事の報酬を青天井で増額することはできません。

具体的な理事の報酬については特定医療法人の3,600万円が一つの目安になると言われています。

 

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