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普通解雇

 

従業員を普通解雇(通常解雇)するには、就業規則に規定する①客観的合理的理由があり、②相当性があることが必要とされています。

就業規則規定の客観的合理的理由の例としては、次のようなものがあります。

1 精神・身体の故障

精神または身体の故障により業務の遂行に堪えないと認められたときです。

2 勤務成績不良

勤務成績または業務能率が著しく不良で、改善の見込みがなく就業に適さないと認められたときや、    業務に怠慢で構造の見込みがないと認められたときです。

3 打切補償

打切補償を行ったときや、業務上の災害により療養開始後3年を経過した日において傷病補償年金の給付を受けているとき、又は同日後において受け取ることとなったときです。

4 業務上の必要性

事業の縮小、廃止その他、会社の経営上やむを得ない事由のあるときです。

5 試用期間中の不適格

試用期間中の者で、従業員として不適格と認められるときです。

6 包括的解雇条項

その他、前各号に準ずるやむを得ない事由が生じたときです。

 

成績不良を理由とする普通解雇の効力が裁判で争われた場合

 

成績不良を理由とする普通解雇の効力が裁判で争われると、裁判官は次のような事情を基にして普通解雇の効力について判断します。

 

1 成績不良を具体的に裏付ける証拠

① 発言や言動又は不作為等、当該従業員の成績不良を裏付ける客観的証拠

② 成績不良を当該従業員に帰責させることができる理由

③ 当該従業員に改善のための時間を与えているかどうか

2 会社の指導・教育の内容

会社が当該従業員に行った指導・教育の内容及び期間に関する客観的証拠

 

成績不良を裏付ける客観的証拠

 

普通解雇が争いになると、会社側が当該従業員の成績不良を裏付ける客観的証拠を提出吸うことができず、裁判に敗訴したり、従業員にとっての勝利的和解で決着することが少なくありません。

会社側が成績不良を裏付ける客観的証拠を提出できないのは、そもそも従業員の就業中にそうした証拠を収集保管していないことが一番大きな理由です。

 

会社、すなわち上司にとって当該従業員の成績が不良であることは周知の事実であり、改めて証拠など集める必要などないと考えているのです。

しかしながら裁判官にとって当該従業員の成績不良は周知の事実ではなく、会社がその主張を裏付ける証拠を提出できないと、当該従業員が成績不良であると判断してくれません。

 

従業員の在勤中の成績不良の証拠が残されていいない場合、上司や同僚の陳述により成績不良の事実を裏付けるよりありませんが、ご難を恐れて陳述してくれない上司や同僚は少なくありません。

仮に陳述してくれても、会社側の証人としての陳述には高い証拠力が認められることは稀といえます。

 

まとめ

 

会社が成績不良を理由として従業員を解雇する場合は、成績不良を裏付ける証拠を収集保全しておく必要があります。

しかし、常日頃からこうした証拠を収集保全しておくことは、ともすれば会社の雰囲気を悪くするため、従業員のモチベーションを低下させるといった副作用もあります。

従業員を普通解雇するにはどの程度の証拠をどれだけ残しておけばいいのか、まずは弁護士等の専門家にご相談することをお勧めします。

 

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