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経過措置型医療法人の持分の評価

 

経過措置型医療法人の持分の評価は、従業員数、純資産価額、年取引金額により「大会社」、「中会社」、「小会社」に分類します。

その上で、この会社の規模に応じて「類似業種比準価額方式」、「純資産価額方式」又は両者の併用方式により持ち分を評価することになります。

(財産評価基本通達194-2)

 

類似業種比準価額方式は、類似業種の株価に、評価対象会社の1株当たりの「配当金額」、「利益金額」、「純資産価額(簿価)」を比準させて持分の価額を算出します。

医療法人の場合、医療法で「配当」することができないため、「利益金額」と「純資産価額」によって計算します。

 

純資産価額方式は、評価対象会社の総資産や負債を相続税評価で評価し、その相続税評価による総資産から負債や評価差額に対する法人税等相当額を差し引いた残りの金額で価額を算出します。

 

大会社では、① 類似業種比準価額、② 純資産価額、③ ①と②のいずれか低い金額、によって持分を評価します。

中会社では、① 類似業種比準価額×L+純資産価額×L、② 純資産価額 ③ ①と②いずれか低い金額、によって持分を評価します。

小会社では、① 純資産価額、② 類似業種比準価額50%+純資産価額50% ③ ①と②いずれか低い金額、によって持分を評価します。

(L  0.6、0.75、0.9のいずれか)

 

経過措置型医療法人における相続税対策

 

評価対象となる経過措置型医療法人が大会社に該当するのか、あるいは中会社、小会社に該当するのかによって持分の評価に用いる要素が大きく異なります。

対象となる経過措置型医療法人が大会社に該当する場合、類似業種比準価額と純資産価額のいずれか低い方を評価額として使用できます。

 

従来から経営が順調で内部留保が蓄積されている経過措置型医療法人の場合は、類似業種比準価額の方が純資産価額より低いことが一般的です。

そうであれば、持分の評価額を下げるためには類似業種比準価額を引き下げる必要があります。

 

類似業種比準価額は、類似している業種(医療法人の場合は「その他の産業」)の株価と、1株当たりの利益金額及び1株当たりの純資産価額によって算定されます。

類似業種の株価は所与のもののため意図して引き下げることはできません。

(但し、現在はコロナの影響によって株価が下がっている業種が多くなっています。類似業種の株価を意図して下げることはできませんが、時期を見極めて低くなっている類似業種の株価を算定に用いることは可能です。)

 

とすれば、対策をとることができる要素は「利益金額」と「純資産価額」の二つ。

純資産価額は、いわばそれまでの法人の利益の蓄積であるため、容易に価額を引き下げることは困難です。

一方、利益金額は、いわば各期ごとの営業成績のため、純資産価額に比べると対策がとりやすいと言えます。

 

なお、純資産価額を引き下げる対策は困難ですが方法はあります。

比較的簡単に実行できるものとしては土地の購入があります。

国税庁のホームページによれば、土地の評価額に用いる路線価及び評価倍率は、「毎年1月1日を評価基準として、地価公示価格、場日相実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として算定した価格の80%により評価しています。」とされています。

 

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