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経過措置型医療法人

 

社団医療法人であって、その定款に出資持分に関する定め(通常は、①社員の退社に伴う出資持分の払戻し、及び、②医療法人の解散に伴う残余財産の分配に関する定め)を設けているものをいいます。

平成19年施行の第五次医療法改正により、出資持分のある医療法人の新規設立はできなくなりました。

一方、既存存の出資持分のある医療法人については、当分の間存続する旨の経過措置がとられており、これらは「経過措置型医療法人」と呼ばれることもあります。

 

出資持分を有する社員の相続

 

経過措置型医療法人の出資持分を有する社員に相続が発生すると、当該社員は死亡により経過措置型医療法人から退社することになります。

他方、経過措置型医療法人の定款には「社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払い戻しを請求することができる」と規定されていること一般的です。

この出資の払戻を請求する権利を「出資持分払戻請求権」といいます。

 

出資持分払戻請求権は、必ず請求権を行使しなければならないものではありません。

そこで、被相続人が生前、出資持分払戻請求権を行使するとの意思表示をしていた場合、相続人はその意思表示に従い経過措置型医療法人から持分の払戻を受けることになります。

 

この場合、払戻しを実際に受けるのは相続人ですが、経過措置型医療法人は被相続人に出資持分を払い戻したことになります。

そこで払戻金額が出資額を超える場合、当該超過部分は被相続人へのみなし配当となり、準確定申告により申告する必要があります。

 

経過措置型医療法人はみなし配当を行う際、20.42%の源泉所得税を徴収します。

相続人は、経過措置型医療法人から払戻しを受けた金額、又は出資持分払戻請求権を相続財産として相続税を申告することになります。

相続税の申告において、準確定申告による所得税は未払税金として債務控除を受けることになります。

 

出資持分を有する社員の相続における注意点

 

出資持分を有する社員の相続において、当該社員が生前、自らの相続時に出資持分払戻請求権を行使するか否か、意思を明確にしているケースは稀です。

実際には社員の死亡後、相続人が出資持分払戻請求権を行使するケースが大半です。

 

医療法人とのトラブルを避けるためにも、相続人全員が医療法人と話合い、準確定申告をした上で、出資持分払戻請求権で相続税の申告をすることをおすすめします。

 

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