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病医院の増減

 

病医院の増減については、現状、診療所の数は漸増を続け、病院と合わせた医療施設の数自体は増加の傾向にあります。

しかし、病院数は1990年代をピークとして減少を続けており、特に99床以下の小規模病院では減少傾向が著しくなっています。

 

さらに厚生労働省の医療施設動態調査によれば、診療を廃止・休止した診療所の数は近年増加傾向にあります。

その原因は、医療機関経営者の高齢化と、後継者の不足であると考えられています。

 

後継者の不足

 

医療機関後継者には原則として「医師」の資格が求められます。

医師の場合、子どもや親族が医師であること自体珍しくありません。

しかし子が医師の場合も、親との診療方針の相違、子やその配偶者の都市生活志向、親の開業地域における将来的な人口減少といった理由で親の医療機関を承継しないと決めている子が少なくありません。

また親の方も、病医院経営の難しさや、多額の借入金や連帯保証の問題などから積極的に子に病医院を承継しようとしないケースもあります。

 

その結果、2017年の調査では、後継者が不在(後継者が決まっていない場合を含む)である割合を示す後継者不在率は次のとおり非常に高い割合となっています。

有床診療所 79.3%

無床診療所 89.3%

病院    68.4%

(2019年 日本医師会総合政策研究機構 「医業承継の現状と課題」)

 

医業承継における選択肢

 

親族に医業承継ができない場合は、親族外への承継や廃業を検討することになります。

 

親族外への承継には、過去に別の病医院が使用していた建物や設備をそのまま引き継ぐ「居抜譲渡」や、医療法人が別の稼働中の医療法人を買収・合併するM&Aなどを検討する必要があります。

なお、病院の承継については、居抜譲渡では病床設置許可の再申請が必要となるため、事実上M&Aしか選択肢はありません。

医療法人の合併については、現在、社団医療法人と財団医療法人の合併も認められています。

(平成24年医政指発第0531号第2号厚生労働省医政局指導課長通知)

 

廃業については、病医院解説者が自主的に廃業する「自主廃業」、定款記載の解散事由に該当した場合の医療法人の「解散」(医療法55条1項1号)、債務超過に陥っている場合の「民事再生」や「破産」を検討する必要があります。

なお、医療法9条1項では、「病院、診療所又は助産所の開設者が、その病院、診療所又は助産所を廃止したときは、10日以内に、都道府県知事に届け出なければならない」と規定しています。

 

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