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暦年課税と相続時精算課税

 

贈与税の計算には暦年課税と、相続精算課税の2つがあります。

 

暦年課税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。

続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。

次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。

 

相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。

この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。

なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更することはできません。

また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。

相続時精算課税制度とは、受贈者が受けた贈与にかかる贈与税を贈与者の相続時まで繰り延べる制度なのです。

したがって、相続時精算課税制度を利用して受贈者が贈与を受けた財産は、贈与者の相続において「相続税の課税対象」に含まれることになります。

法定単純承認と相続時精算課税

 

民法921条は、法定単純承認の事由として

「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」

と規定しています。

 

相続時精算課税制度を利用して受贈者が贈与を受けた財産が「相続財産」に含まれると、民法921条によって受贈者は相続放棄ができなくなるとも考えられます。

しかし、贈与した財産については、贈与者の債権者を害するための贈与といった事情がない限り、贈与時に受贈者に移転していると考えられます。

そこで相続時精算課税を使った贈与は、民法921条の「相続財産」には含まれません。

 

よって、相続時精算課税を利用して被相続人から財産の贈与を受けていた受贈者も相続放棄をすることはできます。

 

代襲相続の場合

 

受贈者が、贈与者よりも先に死亡していた場合、受贈者の相続人(代襲相続人)は、受贈者が相続時精算課税制度の適用を受けていたことに伴う権利義務を承継します。

👉国税庁・相続時精算課税に関する質疑応答事例

 

しかし、受贈者が相続放棄できた以上、受贈者の相続人は、贈与者の相続においても同じく相続放棄をすることができます。

 

その他の相続に関する解説は

👉遺言・相続・遺産分割

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