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事業承継税制の特例措置とは

 

平成30年度の税制改正によって事業承継税制に特例措置が設けられました。

 

特例措置の概要は次のとおりです。

 

1 対象となる非上場株式数の制限の撤廃、贈与税又は相続税全額の納税猶予

 

後継者が先代経営者から非上場株式を取得する場合における贈与税又は相続税が納税猶予となる株式数の制限が撤廃されます。

 

2 雇用確保要件の要件緩和(実質的な撤廃)

 

5年平均で承継時の雇用者数80%を維持しなければならないとされていた要件については、要件が充足できなくなった場合も、都道府県知事にその理由を記載した書面を提出すれば納税猶予期限は確定しなくなりました。

 

3 減免制度の創設

 

承継会社の経済環境の変化が一定の要件を満たせば、承継期間(5年間)経過後に、承継会社の株式等を譲渡、合併による消滅、解散等をした時に、その譲渡又は合併の対価の額(その時の相続税評価額の50%相当額が下限)又は、解散時の相続税評価額を基に再計算した贈与税額等を納付することになります。

再計算した税額が当初の納税猶予額を下回る場合、その差額は免除されます。

 

4 再減免制度の創設

 

対象株式等を譲渡する、又は承継会社が合併により消滅する場合、その対価の額がその時の相続税評価額の50%相当を下回るときは、一定要件のもと、上記3で計算した税額の納付を猶予し、実際の譲渡又は合併の対価の額を基に再々計算した贈与税額等を納付することになります。

その再々計算した贈与税額等が猶予税額を下回る場合、その差額は免除されます。

 

5 複数後継者での適用

 

後継者は、承継会社の代表権を有し、同族関係者のなかで最も多くの議決権を有する者を含めて上位3名までの物で議決権の10%以上を有する者となりました。

 

6 複数承継者での適用

 

後継者が、先代経営者以外の者から贈与等で取得する対象株式等についても、承継期間(5年)内に贈与等の申告書の提出期限が到来するものであれば対象となります。

 

7 直系尊属以外からの贈与についての相続時精算課税制度の適用

 

20歳以上の後継者が、直系尊属ではない60歳以上の贈与者から受ける対象株式等の贈与についても、相続時精算課税制度の適用を受けることができます。

 

一般措置と特例措置の関係

特例措置が適用されるのは、2018年(平成30年)1月1日から2027年(令和9年)12月31日までの間の贈与、相続、遺贈(以下、「遺贈等」)により取得する非上場株式です。

したがって、上記の期間は一般措置と特例措置が併存することになります。

もっとも、特例措置の方が対象となる非上場株式等の範囲等全ての面で一般措置より優れているため、実質的には上記期間における事業承継税制については特例措置の適用を受けることになります。

 

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