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アメリカの相続手続
日本では、相続が発生すると相続財産は相続人の共有となります。
被相続人の遺言があれば原則その遺言の内容に従って遺産が分割され、遺言がなければ相続人間の協議により遺産が分割されます。
日本の相続手続では相続人間で紛争が生じない限り、原則として裁判所の関与はありません。
一方、アメリカで相続が発生すると、遺産(Estate)はプロベート裁判所(Probate Court)と呼ばれる裁判所の監督下におかれます。
その上で、プロベート裁判所から指名された資産管理人(Personal Representative 資産管理人は遺産執行人(Executer)、遺産管理人(Adminstrator)と呼ばれることもあります)が遺産を管理し、債務や相続税を払った後、遺産を相続人に分配します。
資産管理人は相続人等が就任することができますが、日本人がアメリカに財産を残して亡くなった場合は、アメリカの弁護士に資産管理人に就任してもらうことになります。
アメリカのプロベート手続
遺言がある場合
遺言執行者が被相続人の遺言をプロベート裁判所に提出し、プロベート裁判所は遺言の有効性を確認します。
遺言の有効性が確認されたら、遺言で遺言執行人に指名されている者が承認を受けるためにプロベート裁判所に申請書を提出します。
申請書が承認されるとプロベート裁判所から権限付与書(Letter of Grant)が発行され、遺言執行人が執行業務に着手します。
遺言執行人は、遺産の特定及び評価を行い、遺産から被相続人の債務を弁済し、その後に(Estate Tax)を支払い、残りの財産を遺言に従い相続人に分配します。
遺言がない場合
遺産管理人となることができる者は、プロベート裁判所に対して、自らを遺産管理人に指名する旨を記載した申請書を提出します。
プロベート裁判所は申請を受理した上で問題がなければ遺産管理人となる者に権限付与書を発行します。
遺産管理人は、遺産の特定及び評価を行い、遺産から被相続人の債務を弁済し、その後に(Estate Tax)を支払います。
残された遺産は、遺言がない場合の相続に関する法律(Intestate Succession Act)に従い相続人等に配分します。
まとめ
このように、アメリカでは相続手続にプロベート裁判所の関与が必要となり、日本人がアメリカに遺産を残して亡くなるとアメリカの弁護士に手続を依頼する必要が生じます。
そのため、場合によっては遺産よりも弁護士に支払う報酬の額が多くなることもあります。
したがって、アメリカに財産を保有する方は、そのまま相続まで保有するのか、それとも今のうちに処分するのかを検討することをおすすめします。
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