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自筆証書遺言と公正証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書して最後に押印して作成する遺言です。
(民法968条1項)
2019年1月13日から新たな法律が施行され、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の目録を添付する場合は、その目録については、自書が不要となりました。
(同条2項)
他方、公正証書遺言とは、証人2人以上の立会いの下、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記し、遺言者・承認が内容を確認した後に署名・押印して作成する遺言です。
(民法969条)
公正証書遺言のメリット・デメリット
メリット
1 公証役場で保管されるため遺言の偽造や紛失のおそれがない。
2 検認手続が不要(民法1004条2項)
3 公証人が作成に関与するので形式・内容不備で無効となるおそがない
4 遺言作成時に交付される遺言「正本」で相続手続を行える。
5 公証人とのやり取りが必要なので一定程度遺言者の遺言能力が担保される。
6 遺言者が文字を自書できなくても遺言を作成できる。
デメリット
1 公証人に支払う手数料が必要となる。
2 公証人との打ち合わせが必要となるので手間がかかる。
3 証人2人を準備する必要がある。
自筆証書遺言のメリット・デメリット
メリット
① 費用がかからない。
② 手間がかからない。
③ 証人が不要。
デメリット
① 遺言書の偽造や紛失のおそれがある。
② 検認手続が必要。
③ 形式や内容不備で無効となるおそれがある。
④ 相続手続には検認証書が必要となる。
⑤ 遺言者の遺言能力が担保されない。
⑥ 自書する必要がある。
自筆証書遺言に関する法改正を受けて
相続法の改正を受けて財産目録については自書が不要となりました(民法968条2項)。
その結果、デメリット⑥自書する必要がある、は、財産目録については当てはまらなくなりました。
また遺言書保管法のができたことにより、遺言書保管所に保管された遺言については、デメリット①遺言書の偽造や紛失のおそれはなくなり、②検認手続についても不要となります。
同遺言については④相続手続に検認証書は不要です。
遺言書保管所に保管された遺言について検認が不要とされるのは、保管申請時に遺言書保管官が遺言の形式不備等を確認するためです。
しかし、遺言書保管官の審査は形式的なものであるため、遺言書保管所に保管された遺言が内容不備で無効となる可能性があります。
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