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遺留分とは

 

遺留分とは、一定の相続人のために法律上必ず留保されるべき遺産の一定割合のことです。

兄弟姉妹以外の法定相続人には遺留分が認められ、その割合は、

① 直系尊属のみが相続人の場合 遺産の3分の1

② その他の場合 遺産の2分の1

となります。

(民法1042条1項)

 

遺留分を侵害する遺言の作成

 

被相続人は、遺言で共同相続人の相続分を指定することができます。

(民法902条1項)

遺言による相続分の指定は、相続人による遺産分割協議に優先します。

被相続人は、生前自己の財産を自由に処分できた以上、自らの相続においても遺言による財産の自由処分が認められるためです。

 

その結果、特定の相続人の遺留分を侵害する遺言が作成されることがあります。

遺留分が侵害される遺言が作成される理由としては、①事業承継で後継者に自社株式を集中させる必要がある、②主な相続財産が自宅だけなので分割することが難しい、③同じく主な相続財産が自宅と農地のため、農業承継者に集中させる必要がある、といったことが考えられます。

 

一方で、被相続人の遺言により自らの遺留分が侵害された相続人は、受遺者又は受贈者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができます。

(遺留分侵害額請求 民法1046条1項)

 

相続開始後のトラブルを防ぐための留意点

 

既に述べたように、特定の相続人の遺留分を侵害する遺言は、事業の承継等、やむを得ない理由があるために作成されることが大半です。

 

しかし、相続人間で遺留分侵害額請求を行うような事態となれば、相続人間の関係悪化は避けられませんし、そうした事態は被相続人も望んでいないでしょう。

 

そこで、やむを得ず遺留分を侵害する遺言を作成する場合は、付言事項において、なぜそうした遺言を作成する必要があったのかという理由を説明するようにします。

 

被相続人の気持ちが分かれば、遺留分が侵害されている相続人も、遺言の内容に異を唱えない(少なくとも遺留分侵害額請求まではしない)ものです。

 

出来ることであれば、被相続人は生前に家族に対して、遺言の内容や、遺言を作成することになった理由を説明しておきます。

 

さらには、遺言で自社株式、不動産、農地等を相続することになった相続人は、それを当然のこととせず、遺留分を侵害された他の相続人に対して感謝を伝えるべきです。

 

そこまでして相続人間のトラブルが避けられない場合は、残念ながら被相続人に人徳がないか、相続人に利己主義者が多いということなので、遺留分侵害額請求で解決するしかありません。

 

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👉遺言・相続・遺産分割

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