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被相続人の兄弟姉妹に法定相続分
子のいない夫婦のうち夫が亡くなると、法定相続人は妻と被相続人(夫)の兄弟姉妹です。
(被相続人の両親は兄弟姉妹に優先する法定相続人ですが、既に亡くなっていることが多い)
民法900条4号によると、この場合の法定相続分(相続財産に対する遺産分割の目安となる割合のこと)は、妻が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。
兄弟姉妹が4分の1の財産を請求してくると、妻はこれを無下に拒否することはできないのです。
しかし、被相続人の兄弟姉妹が相続財産の形成に寄与していることは稀です。
であるにもかかわらず法律では法定相続分は4分の1。
さらに被相続人が高齢でなくなったケースでは、兄弟姉妹も既に亡くなっていることが少なくない。
その場合は、さらに関係性が薄い甥や姪が代襲相続人として登場します。
もちろん、遠慮して兄弟姉妹、甥や姪が遠慮して、妻が全ての財産を相続することもあります。
しかし、相続人の中に経済的にひっ迫した事情がある人がいると、きっちりと法定相続分を主張してきたり、ハンコ代名目の金銭を要求してくる場合もあります。
相続財産がほぼ夫婦が暮らす家というケースでは、その4分の1を兄弟姉妹、甥や姪に相続させることなどなかなかできる話ではありません。
遺言を作りましょう
しかし、被相続人が遺言を作成するとどうなるでしょうか。
遺言があると、その内容は相続人間の遺産分割協議に優先します。
もう少し正確に説明すると、被相続人が遺言で各人の相続分や遺産分割の方法を指定していると、相続人間の遺産分割協議が必要でなくなります。
被相続人が予め分割内容を遺言で決めているのですから。
もっとも法定相続人に遺留分(最低限の相続財産を確保する権利のこと)がある場合、遺言の内容が遺留分を侵害していると、遺留分を侵害された相続人は遺留分侵害額請求ができます。
では兄弟姉妹の遺留分はどうかというと、実は兄弟姉妹には遺留分がありません。
(民法1042条)
したがって、夫が生前、「妻に全財産を相続させる」という遺言を作成しておけば、妻は全ての財産を相続することができます。
遺言の作成方法には公証人役場で作成してもらう遺言公正証書などがありますが、「妻に全財産を相続させる」というシンプルな内容であれば自筆証書遺言で十分作成できます。
自筆証書遺言には、全文自書(ただし財産目録は自書不要)、日付、署名押印等の作成のルールがありますが、シンプルな内容であれば遺言作成自体10分もあれば大丈夫です。
妻(あるいは夫)が困らないように10分を使って遺言を作成してはどうでしょうか。
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