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発信者情報開示の請求相手
われわれがスマホなどでインターネット上の記事等を閲覧するには、
- NTT DOCOMO、KDDI、Softbankといったインターネット接続を媒介する事業者であるインターネットサービスプロバイダ(ISP)と契約をしてインターネットに接続できるようにする
- 上記ISPを介して、コンテンツプロバイダが提供するインターネット上の記事等にアクセスする
といった流れになることが一般的です。
このうち、ISPは、個々の利用者と利用契約を締結し、料金の支払いを受けた上でサービスを提供しているので、契約者の氏名や住所といった情報を把握しています。
一方、コンテンツプロバイダが把握しているのは、IPにおいてパケットを送受信する機器を判別するための番号である「IPアドレス」と、一定の時刻に当該電子データが存在していたことを証明する「タイムスタンプ」といった接続記録に限られます。
したがって発信者を特定するには、
- コンテンツプロバイダに対して問題となる記事等に関する接続記録の開示を求める
- 接続記録をもとに、ISPに対して契約者の情報の開示を求める
といった手続が必要となります。
発信者情報開示請求のながれ
上記のとおり、発信者情報開示請求は、コンテンツプロバイダに対するIPアドレス等の接続情報を求める請求と、ISPに対する契約者情報を求める請求が必要となります。
具体的な請求には、テレコムサービス協会が作成した「発信者情報開示請求書」を利用します。
発信者情報開示請求書には実印を押印し、実印であることを明らかにするため、郵送のさいには発行されてから3か月以内の印鑑証明書を添付します。
また、問題となる記事等を明らかにするため、当該記事が閲覧できるURLの表示があるスクリーンショットも添付します。
ISPに対する請求には、コンテンツプロバイダ等から開示されたIPアドレス等の情報を添付します。
請求を受けたISPは、書類に不備がなければ発信者に対して、開示請求に応じるか否か、応じない場合はその理由を回答するように、2週間の期限を定めて意見聴取を行います。
発信者が情報開示に応じない場合、ISPは発信者情報を開示しません。
なお、実務では、ISPは裁判所からの開示命令がない場合、情報開示に応じないため、ISPから発信者情報の開示を受けるためには裁判手続が必要となります。
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