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特例事業承継税制とは

 

後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。

平成30年度税制改正では、法人版事業承継税制について、これまでの措置に加え、10年間の措置として、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の3分の2まで)の撤廃や、納税猶予割合の引上げ(80%から100%)等がされた特例措置が創設されました。

 

特例事業承継税制の適用を受けるためには

 

特例事業承継税制の適用を受けようとする場合には、相続開始時の日の翌日から5か月以内に、後継者が代表者に就任している必要があります。

 

代表者に就任するには、株主総会で役員に選任され、取締役会で代表取締役に選任される必要があります(取締役会設置会社の場合)。

 

また、都道府県知事に対して、相続開始の日の翌日から8カ月以内に、認定申請書を提出しなければならないとされています。

 

認定申請書には、遺産分割協議書又は遺言書の添付が必要とされています。

 

遺産分割協議が紛糾した場合

 

遺産分割協議が紛糾し、後継者が自社株式の過半数を相続できないと、後継者が代表者に就任できなくなる可能性が出てきます。

 

また、遺産分割協議がまとまらないと、当然ながら遺産分割協議書を認可申請書に添付することはできなくなります。

 

なお、会社法106条は、

「株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することを同意した場合は、この限りでない。」

と規定しています。

 

例えば、相続人がA(後継者)、B、C、の3人で、AとB、Cが対立していると、B又はCが権利行使をする者として通知される可能性が出てきます。

 

なお、同条但書については、「準共有状態にある株式の準共有者間において議決権の行使に関する協議が行われ、意思統一が図られている場合にのみ、権利行為者の指定及び通知の手続を欠いていても、会社の同意を要件として権利行使を認めたものと解するのが相当であるところ、準共有者間において準共有株式の議決権行使について何ら協議が行われておらず、意思統一も図られていない場合には、会社の同意があっても、準共有者の1名が代理人によって準共有株式について議決権の行使をすることはでき」ないとされています。

(東京高判平成24年11月28日)

 

企業オーナーが遺言を作成した場合

 

相続人がA、B、C、の3人にである場合において、企業オーナーが遺言を作成すると、Aには、BとCの遺留分を除いて最大で3分の2の財産を遺すことができます。

 

そして、遺言書の中に自社株式をAに相続させると記載しておけば、後継者は相続開始時の日の翌日から5か月以内に代表者に就任でき、また認定申請書に遺言を添付することもできます。

 

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