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配偶者居住権とは、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の所有建物を対象として、終身(配偶者居住権)又は一定期間(短期配偶者居住権)、配偶者に使用又は収益を認めるという権利です。

(民法1024条以下)

 

配偶者居住権によって、生存配偶者が安心して自宅で暮らすことができます。

また、生存配偶者は居住用不動産を相続する必要がないため、預金債権等を余分に相続ができる結果、安心して暮らすことができます。

 

しかし、配偶者居住権には注意すべき点がいくつかあります。

 

配偶者居住権の取得

 

配偶者が、配偶者居住権を取得するためには、

 

1 被相続人の配偶者が、相続開始時に被相続人の建物に居住していたこと

2 遺産分割又は遺贈により配偶者居住権を取得すること

 

が必要となります。

 

配偶者居住権は遺言で設定することもできますが、配偶者居住権を記載した遺言については、2020年4月1日以降でなければ作成することができないため、遺言の作成日時については注意が必要です。

(平成30年法律第72号付則10②)

 

配偶者が「遺贈」によって取得する

 

配偶者が、被相続人の遺言によって配偶者居住権を取得するためには、配偶者居住権が「遺贈」される必要があります。

(民法1028条1項2号)

 

一般的には、被相続人が配偶者に財産を承継する場合、遺言書には「相続させる」と記載します。

一方で配偶者居住権については、上記のとおり「遺贈する」と記載する必要があります。

 

被相続人が、配偶者に対して、配偶者居住権を「相続」させてしまうと、配偶者が配偶者居住権を相続したくない場合、相続財産全体について相続放棄をする必要が出てくるためです。

 

配偶者居住権の負担の付いた建物を売却する場合の贈与税課税

 

配偶者居住権は、配偶者が死亡することで消滅します。

この場合、配偶者居住権の価額に相当する利益については課税関係は発生しません。

 

一方で、配偶者居住権の負担付建物を売却する際、配偶者が配偶者居住権を消滅させた場合は、建物所有者が、その消滅直前における当該配偶者居住権の価額に相当する利益を贈与によって取得したものとみなされます。

(相続税基本通達9-13の2)

 

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