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代理に関する改正は、代理行為の瑕疵及び代理権の濫用を除いて、概ね従来の判例法理を明文化して者であり、実務への影響は少ないと思われます。

代理権の濫用

 

改正前

 

代理権の濫用とは、代理人が、自己または第三者の利益を図る目的で、代理権の権限内の行為を行うことです。

なお、代理人が、代理権の権限外の行為を行うことは、無権代理の問題となります。

 

従来、代理権の濫用を直接規律する条文がなかったため、判例は、代理行為の相手方が代理人の意図を知りえた場合には93条但書を類推適用して代理行為を無効とし、本人を保護していました。

 

民法93条1項(心裡留保)

意思表示は、表意者がその真意でないことを知っていたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意でないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

 

改正後

 

代理人が権限を乱用した場合、相手方が代理権濫用を知り、又は知ることができたときは、その行為は無権代理行為とみなして、本人が責任を負わないことになりました。

 

改正民法107条(代理権の濫用)

代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。

 

また、この場合、本人が無権代理行為を追認でき、また相手方から代理人への責任追及も可能です。

 

民法113条1項(無権代理)

代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。

 

改正民法117条1項(無権代理人の責任)

他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。

 

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