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民法(債権法)の改正

 

2017年7月に成立した「民法の一部を改正する法律」が、2020年4月1日より施行されます。

民法の債権法については、1896年(明治29年)に制定以来、じつに120年間にわたり見直しが行われていませんでした。

 

そこで今回の改正では、現代社会の実情に合わない部分を中心に、債権法が大幅に改正されることになりました。

 

詳細はこのブログでも順次ご紹介していきますが、今回は債権法改正のポイントについて概要をご紹介します。

 

保証人の保護に関する改正

 

絶対に迷惑はかけないといわれ、軽い気持ちで知人の保証人になったところ、知人が夜逃げして友人の借金を肩代わりすることになった・・・

 

こうしたトラブルを避けるため、保証人の保護に関する改正が行われました。

1 極度額の定めのない根保証契約は無効になります

 

一定の範囲に属する不特定の債務を保証する契約を根保証契約といいます。

これまでの貸金等債権に関して、個人を根保証人とする契約では極度額の定めがないものは無効とされていました。

 

今回の民法改正では、貸金等債権のみならず、賃貸借契約等における賃借人の債務等にかかる根保証契約についても極度額の定めがないものは無効となります。

 

2 一定の債務について公証人による保証人の意思確認が必要となります

 

個人や法人の事業主が融資を受ける際、その事業に関係のない個人がその保証人になろうとする場合は、公証人による意思確認の手続が必要となります。

 

公証人の意思確認を必要とすることで、安易に保証人となった結果、予想外の保証債務を負担するといった事態を一定程度防止できます。

 

定型約款を用いた取引に関する改正

 

現在では不特定多数の消費者との取引について、事業者が準備した約款によってその内容が規定されることが少なくありません。

 

しかし、実際の取引では、消費者が約款をよく確認せずに契約をした結果、後で思わぬ取引に巻き込まれる事態が生じています。

 

1 定型約款が契約内容となるための要件

 

定型約款が契約の内容となるためには次の要件が満たす必要があります。

 

〇 当事者間に定型約款を契約内容とする合意がある場合

〇 定型約款を契約内容とすることを事業者が顧客に表示した場合

 

他方、信義則に反して顧客が一方的に不利益を被る不当な条項については、その効力が否定されます。

2 定型約款を変更するための要件

 

定型約款の変更は次の場合に認められます。

 

〇 変更が顧客の一般的利益に適合する場合

〇 変更が契約の目的に反せず、かつ諸事情に照らして合理的な場合

 

法定利率に関する変更

 

これまで民法の法定利率は年5%であり、現実の市中金利等から乖離していました。

 

今回の債権法改正では、法定利率を年3%としたうえで、将来的に市中金利が変動した場合に、自動的に法定利率が変動する仕組みが導入されました。

 

消滅時効に関する変更

 

これまでの民法では、債権の消滅時効期間を原則10年としたうえで、職業別に短期消滅時効を規定していました(飲食代のツケは1年など)。

 

今回の債権法改正では、債権の消滅時効を原則として5年に統一し、債権者が権利行使できないなどの事情がある場合等は、例外的に10年とすることになりました。

 

この他にも今回の債権法改正によって企業間の契約関係のみならず、われわれの日常生活にも大きな影響が出る可能性があるため、このブログで順次ご紹介していきたいと思います。

 

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