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今回は相続の開始原因である人の死亡についてのご紹介したいと思います。
人の死亡には、「自然の死亡」と「法的に擬制された死亡」があります。
1 「自然の死亡」
(1)自然の死亡
自然の死亡については、刑法などでは脳死をもって死亡とするのか等が問題となることがありますが、相続では脳死か否かはあまり問題となりません。
人が死亡したときは、同居の親族等の届け出義務者が、死亡の事実を知った日から7日以内に診断書又は検案書を添付して届出を行うことになります(戸籍法86条1項)。
なお、災害で行方不明になるなど、遺体が発見されないため診断書又は検案書が添付できない等やむを得ない場合は、診断書又は検案書に代えて「死亡の事実を証すべき書面」を提出することになります。
(戸籍法86条3項)。
この場合、死亡現認書等が「死亡の事実を証すべき書面」となります。
(2)認定死亡
水難や火災等により、死亡したことは確実であるが遺体が見つからない場合、取調官公署が死亡の認定を行い、その報告に基づいて戸籍に死亡の記載をする制度です。
認定死亡は、自然死亡の一態様とされています。
なお、死亡届には「死亡の年月日時分及び場所」を記載する必要があり(戸籍法86条2)、この「死亡の年月日時分」は戸籍に記載されます。
一方で、認定死亡は正確な死亡時期が分からないため、戸籍には「推定」と記載されることになります。
2 「法的に擬制された死亡」
=失踪宣告
失踪宣告とは、法律で定められた一定の期間生死不明の者について、所定の時期に死亡したとみなす制度のことです。
(1)普通失踪
不在者の生死が7年以上明らかでないときに、不在者を死亡したとみなす制度です。
不在者の生存が最後に確認できた時点から7以上経過した場合、家庭裁判所に普通失踪の申立ができます。
家庭裁判所で失踪申告の審判がなされると、7年間の期間満了時に不在者が死亡したとみなされ、相続が開始します(民法31条)。
(2)特別失踪
戦地に臨んだ者、沈没した船舶に乗船していた者、その他死亡の原因たるべき危難に遭遇した者について、その生死が、戦争が終了した後、船舶が沈没した後、その他の危難の去った後1年間明らかでない場合、その不在者を死亡したものとみなす制度のことです。
特別失踪では「危難が去った時」に死亡したものとみなされ、相続が開始します(民法31条)。
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