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相続と登記の関係

 

今回は、相続人が不動産を相続したり、または相続放棄をしたときに、登記が必要かについてご紹介します。

 

この、当事者間で既に成立した法律関係や権利関係について、当事者以外の第三者に対して主張(対抗)するために必要な要件を「対抗要件」といいます。

 

相続を放棄した場合

 

相続放棄をした相続人の債権者が、その放棄者に代位して相続財産に代位登記をした場合、その登記は、放棄者以外の相続人に対抗できるのでしょうか。

 

判例に拠れば、

 

「家庭裁判所に放棄の申述をすると、相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずる」ことになります。

 

(最判昭和42年1月20日民集21巻1号16頁)

 

したっがって、遺産分割協議等により当該相続不動産を取得した相続人は、代位登記をした放棄者の債権者に対して対抗できることになります。

 

すなわち、当該相続不動産を相続した相続人は、相続登記をする前に代位登記をした放棄者の相続人に対して、自らが当該相続不動産の所有者であることを主張できることになります。

 

自らの相続分を超える相続不動産を相続した場合

 

他方、自らの相続分を超える相続財産を取得した相続人は、相続分を超える権利の承継については、対抗要件を備えないと第三者に対抗することはできません。

 

この法理は従来から判例で認められていましたが、今回の相続法改正により民法の規定として整理されました。

 

民法899条の2

 

相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することはできない

 

したがって、遺産分割協議等で法定相続分を超える相続不動産を相続することになった相続人は、直ちに相続登記等で対抗要件を具備する必要があります。

 

当該相続人が相続登記をする前に、他の相続人が第三者に自らの相続分を売却してしまうと、当該相続人は、法定相続分を超える部分について、その第三者に自分が所有者等であると主張できなくなります。

 

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