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相続税の税務調査

 

相続税の税務調査については、どのように実施されているのでしょうか。

 

平成30年12月に発表された国税庁の「平成29事務年度における相続税の調査状況について」に拠れば、相続税の調査実績は次のとおりである。

 

① 実地調査件数

12,576件

 

② 申告漏れ等の非違件数

10,521件

 

③ 非違割合(②/①)

83.7%

 

④ 重加算税賦課件数

1,504件

 

⑤ 重加算税賦課割合(④/①)

14.3%

 

⑥ 追徴税額(1件あたり)

623万円

 

相続税の調査対象の選定は、過去の提出された所得税や贈与税の申告書、給与所得の源泉徴収票等の税務署の内部資料に加え、不動産の所有状況、金融機関から取り寄せた過去の取引履歴を分析して申告書記載の相続財産の額との整合性を判断の上決定されるといわれています。

 

相続税の任意調査を受ける確率はほぼ3分の1です。

しかし、一旦調査を受けると10中8,9申告漏れの指摘を受けることになっています。

(非違割合は実に83.7%です)

 

また相続財産が3億円以上の大口資産家の相続のケースでは、ほぼ100%相続税の税務調査の対象に選定されるといわれています。

 

申告漏れ財産

 

次に、申告漏れ財産の種類別は次のとおりです(単位:億円)

 

現金・預貯金等

1,183

 

有価証券

527

 

土地

410

 

家屋

62

 

その他

1,289

 

(全体)

3,471

 

申告漏れが指摘される相続財産の特徴は、そのほぼ半分が現金預金等、有価証券といった金融資産が占めているといったことです。

 

相続税の調査においても、

被相続人の過去の収入から推定される金額と比べて金融資産の申告額が少ない場合、

被相続人より家族名義の預金残高が多い場合、

被相続人と相続人の預貯金の入出金額が合致している場合、

などのケースでは金融資産に対する調査は徹底的に行われるといわれています。

 

相続税の税務調査と名義預金

 

特に名義預金(口座の名義人と出捐者が異なる預貯金のこと 例)父が子の名義でお金を預けるケース)は要注意です。

 

よく名義預金について、時効になるのではないかと質問を受けますが、名義預金に時効はありません。

 

贈与税の時効は6年、偽りその他不正の行為によって税額を免れた場合は7年です。

(国税通則法70条、相続税法36条)

贈与を行った翌年の3月15日より時効期間は進行します。

 

しかし、名義預金はそもそも贈与が成立していません。

被相続人のお金が、相続人名義の預金口座に預けられているだけです。

 

したがって、何年前に相続人の口座に預けられたものであっても、相続開始時には相続財産の一部と判断されてしまいます。

 

そうした指摘を避けるためには、やはり贈与契約書を作成するなど、生前贈与の「証拠」をしっかりと作成しておくことがおすすめです。

 

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