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今回は相続でよく問題となる被相続人が自宅で保管していた現金、いわゆるタンス預金について考えてみたいと思います。
第一生命研究所に拠れば、2019年1月末の時点でタンス預金の残高が50兆円の大台にのったということです。
前年末の紙幣の流通残高が100兆円超なので、タンス預金は実に紙幣の流通残高の半分に及ぶことになります。
このタンス預金が相続で問題となるケースは大別して2つの場面です。
一つは相続税の税務調査の場面で、一つは同居親族によるタンス預金使い込み疑惑が問題となる場面においてです。
まずは相続税でタンス預金が問題となる場面について。
当然ながら相続税の申告では被相続人の預貯金のみならずタンス預金についても申告義務があります。
しかし、銀行に預けていないから税務署には分からないと思うのか、相続税の申告からタンス預金の全部又は一部を除外する相続人が少なくありません。
しかし、百戦錬磨の税務署員にかかれば相続税の税務調査において、被相続人のタンス預金は往々にして見つけられるようです。
その手法については以前に国税出身の税理士さんに聞いたことがありますが、このブログで相続税の脱税を勧めることはありませんので、詳細は書かないことにします。
いずれにせよ、相続税の税務調査で申告漏れの指摘を受けて修正申告することになれば「相続税+α」の税金を納税することになるので、タンス預金も正確に申告するように心がけたいものです。
次に相続でタンス預金が問題となるのが同居の親族による使い込み疑惑の場面です。
「亡くなった親は以前自宅で相当な現金を保管していた、自分は確かに現金も見た。」
「しかし、相続開始後に調べてみると自宅の現金がなくなっている。」
「きっと、親と同居していた兄弟が使い込んだか隠しているに違いない、どうすればいいのか?」
相続に関する法律相談で、この手の相談は少なくありません。
状況証拠が揃っても、当該相続人が使い込み等を否定すると、その反証を上げることは容易ではありません。
その結果、遺産分割協議が終わった後いつまでも、相続人間であいつは親の金を使いこんだ、隠したといった言い争いが続くのです。
そもそもタンス預金は盗難、火災、腐食や虫食いで紙幣そのものが無くなってしまう危険があります。
先の東日本大震災でも相当数のタンス預金が流出したといわれています。
銀行に預けても利子は付きませんが、他方でタンス預金にはこうしたリスクがあることを知っておく必要があると思います。
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