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今回は、相続時精算課税制度を使って親から財産を受け取っていた子が、親の相続において相続放棄ができるのか、についてご紹介します。

 

贈与税の計算には1年に受贈者1人に対して110万円の控除が使える暦年課税と、今回ご紹介する暦年課税の2つがあります。

 

相続時精算課税制度とは、原則として贈与をした年の1月1日時点で60歳以上の父母又は祖父母から、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上の子又は孫に対して、財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度のことです。

 

 

贈与税の計算は、特別控除額2,500万円を超えた価額に一律20%を乗じて計算します。

 

その後、贈与者の相続時に、受贈者が相続又は遺贈で取得した財産の価額に、相続時精算課税で取得した財産の価額を合算して計算した相続税額から、既に支払った贈与税を控除して納税額を計算することになります。

 

このように相続時精算課税制度とは、受贈者が受けた贈与にかかる贈与税を贈与者の相続時まで繰り延べる制度なのです。

 

したがって、相続時精算課税制度を利用して受贈者が贈与を受けた財産は、贈与者の相続において「相続税の課税対象」に含まれることになります。

 

一方で、民法921条は、法定単純承認の事由として

「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」

と規定しています。

 

相続時精算課税制度を利用して受贈者が贈与を受けた財産が「相続財産」に含まれると、民法921条によって受贈者は相続放棄ができなくなるとも考えられます。

 

しかし、贈与した財産については、贈与者の債権者を害するための贈与といった事情がない限り、贈与時に受贈者に移転していると考えられます。

そこで相続時精算課税を使った贈与は、民法921条の「相続財産」には含まれません。

 

よって、相続時精算課税を利用して被相続人から財産の贈与を受けていた受贈者も相続放棄をすることはできます。

 

これは、受贈者が、贈与者よりも先に死亡していた場合も同様です。

 

この場合、受贈者の相続人(代襲相続人)は、受贈者が相続時精算課税制度の適用を受けていたことに伴う権利義務を承継します。

👉国税庁・相続時精算課税に関する質疑応答事例

 

しかし、受贈者が相続放棄できた以上、受贈者の相続人は、贈与者の相続においても同じく相続放棄をすることができるのです。

 

その他の相続の問題は

👉遺言・相続・遺産分割

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