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配偶者居住権の評価

 

今回は配偶者居住権にかかる税金のはなしです。

 

配偶者居住権とは、被相続人の遺言等により、生存配偶者が無償で終身(合意があれば合意のある期間)居住建物を使用することができる権利のことです。

 

配偶者居住権が認められると、居住用建物の評価は、

[配偶者居住権の評価額]+[配偶者居住権の負担の付いた居住用建物の評価額]

以上の合計額となります。

 

次に、配偶者居住権の評価については、次の算式で求めることになります。

 

[居住用建物の時価]※1-[居住用建物の時価]×([耐用年数]※2-[経過年数]※3-[存続年数]※4)/([耐用年数]-[経過年数]×[存続年数に応じた法定利率による複利現価率]

 

※1

居住建物に配偶者居住権が設定されてい ないものとした場合のその居住建物の相続開始時の時価のことです。

 

※2

居住 建物の全部が住宅用であるものとした場 合におけるその居住建物に係る減価償却 資産の耐用年数等に関する省令(耐用年 数省令)に定める耐用年数に1.5を乗じ て計算した年数(6月以上の端数は1年 とし、6月に満たない端数は切り捨て)をいいます。

 

※3

居住 建物の新築時から配偶者居住権の設定時 までの年数(6月以上の端数は1年とし、 6月に満たない端数は切り捨) をいいます。

 

※4

配偶者居住権が存続する年数をいいますが、配偶者居住権の存続期間が配偶者の終身とされている場合は、当該配偶者の平均余命をいいます。

 

配偶者死亡により配偶者居住権が消滅した場合の課税関係

 

2019年7月3日付で財務省が公表した「令和元年度 税制改正の解説」では、配偶者居住権が消滅した場合の課税関係の取扱いが明らかにされました。

 

まず、生存配偶者が死亡した場合(2次相続)における配偶者居住権の取扱いについて。

 

同「令和元年度 税制改正の解説」に拠れば、

 

「配偶者が死亡した場合には、民法の規定 により配偶者居住権が消滅することとなり ます。」

 

「この場合、居住建物の所有者はその 居住建物について使用収益ができることと なりますが、民法の規定により(予定どお り)配偶者居住権が消滅するものであり、 配偶者から居住建物の所有者に相続を原因 として移転する財産はありませんので、相続税の課税関係は生じません。

 

とされています。

 

合意解除・放棄により配偶者居住権が消滅した場合の課税関係

 

次に、期間途中で合意解除、放棄があった場合については、

 

「配偶者居住権の存続期間の満了 前に何らかの事由により配偶者居住権が消滅 することとなった場合には、居住建物の所有 者は期間満了前に居住建物の使用収益ができ ることとなります。」

 

「これは、配偶者居住権が 消滅したことにより所有者に使用収益する権 利が移転したものと考えられることから、相 続税法第9条の規定により配偶者から贈与が あったものとみなして居住建物の所有者に対 して贈与税が課税されるものと考えられます。 」

 

とされ、こちらはみなし贈与として贈与税が課税されることになります。

 

したがって、一旦発生した配偶者居住権を合意解除、放棄してしまうと居住建物の所有者に贈与税が課税されてしまうので注意が必要となります。

 

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