ブログ

遺産分割の基準には次の3つがあります。

 

法定相続分(民法900)

民法で予め決められている画一的な割合による分割です。

例) 配偶者と子2人が相続人の場合、配偶者が 1/2、子がそれぞれ1/4の割合で相続する。

 

指定相続分(民法902、964)

被相続人が遺言で指定した割合による分割です。

例) 妻に3分の1、長男に3分の2の割合で相続させる。

 

具体的相続分(民法903~904の2)

法定相続分・指定相続分を事案ごとに下記の方法で修正して算出する割合による分割です。

個々の相続人の具体的相続分

みなし相続財産の範囲(相続財産の価額+特別受益の総額-寄与分の総額)× ②法定相続分(又は指定相続分)-③特別受益の価額+④寄与分の価額

具体的相続分の割合

各相続人の具体的相続分の価額÷各相続人の具体的相続分の価額の総額

 

問題点

具体的相続分の割合による遺産分割を求めることについては、時的制限がなく、長期間放置をしていても具体的相続分の割合による遺産分割を希望する相続人に不利益が生じません。

したがって、いつまでたっても相続財産である不動産の登記が放置されたりします。

また、相続開始後遺産分割がないまま長期間が経過すると、生前贈与や寄与分に関する書証等が散逸し、関係者の記憶も薄れるため遺産分割に支障が出る可能性があります。

 

法改正後

 

原則として、相続開始後10年を経過した後にする遺産分割については、具体的相続分ではなく法定相続分(又は指定相続分)によることになります(民法904条の3本文)。

 

例外として、

①10年経過前に相続人が遺産分割を家庭裁判所に請求したとき

②10年の期間満了前6か月以内の間に遺産分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にある場合で、その事由が消滅した時から6か月を経過する前に当該相続人から家庭裁判所に遺産分割の請求をしたとき

こうした場合には具体的相続分による遺産分割が可能となります(民法904条の3但書)。

 

また、相続人全員が具体的相続分による遺産分割に同意した時においても、具体的相続分による遺産分割が可能です。

 

その他の相続に関する解説は

👉相続・遺言・遺産分割

オールワンへの
お問い合わせ・ご相談予約